済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
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2019.08.07
主に成長期の子どもが、膝前部と下部に生じる痛みや発赤(ほっせき=皮膚が赤くなること)、熱っぽさを生じる病気です。膝関節を屈伸する動作を過剰に行なったときに、膝蓋靭帯(しつがいじんたい)が付着する脛骨粗面(けいこつそめん)に負荷がかかることによるもので、バスケットボールやサッカーなどのスポーツを活発に行なう10~15歳の子どもに多く発症します。
成長期の子どもでは、骨の成長にその周囲の筋肉の成長が追いつかず、バランスがうまく取れていない場合があります。その状態では筋肉に強度と柔軟性がないので、スポーツなどの運動を過度に行なうと、大腿四頭筋からつながる脛骨粗面部に負荷がかかり、軟骨が一部はがれるなどの物理的な刺激が生じます。成長期の結節部は柔らかいために刺激がより加わり、熱っぽさや腫れなどの炎症を生じやすいです。運動を休止すれば症状は緩和されますが、継続するとさらに悪化し、脛骨粗面部が隆起してきます。成長期を過ぎれば症状は治まります。
現在行なっているスポーツを一時的にやめることが急務です。子どもはたいてい我慢してスポーツを継続し、症状を悪化させることが多いので、周囲の大人が早めに異常を察知してやめさせ、膝に負荷をかけさせないようにすることが重要です。症状の緩和には、アイシング(酷使した部分を氷で冷やすこと)や消炎鎮痛剤の内服、サポーターやテーピングによる膝蓋靭帯への負荷の軽減が有効です。
成長期の子どもがスポーツ(主にダッシュ、ジャンプ)を急激に始めたときには注意が必要です。特に、膝の痛みを訴えたら、まずはスポーツを中断させて、クーリング(痛みを感じる部分を冷やすこと)を行ないます。
レントゲン検査では脛骨粗面(けいこつそめん)において、骨端核(成長期に存在する骨)の変化や、はがれた骨片がみられます。MRIでは、骨軟骨を覆う膝蓋靭帯の肥厚や炎症性の変化がみられます。早期に発見し、早期に治療することが大切です。
大腿四頭筋の柔軟性を強化することが予防として最も有効であるため、成長期には運動前のストレッチを必ず行なうようにします。発症後は、痛みがなくなればスポーツを行なうことが可能ですが、3~6カ月間は症状が再発しやすいので、ストレッチによる柔軟性の強化に加え、膝蓋靭帯部をテーピングまたはベルトで固定することで再発を予防します。成長期を過ぎれば症状は治まりますが、スポーツを継続して行なう場合は、ストレッチによる大腿四頭筋の柔軟性の維持と強化を続けていくべきです。
解説:堀越 万理子
湘南平塚病院
リウマチ関節外科部長 兼 リウマチ・関節センター長
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