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2015.09.25
化膿性関節炎とは、関節内に細菌が侵入し化膿してしまう病気です。その原因菌は、黄色ブドウ球菌が最も多く、続いて連鎖球菌、肺炎球菌、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)が多いと報告されています。なお、関節内にこれらの細菌が侵入する経路としては、以下の3パターンが考えられます。
1 肺炎や尿路感染など他の感染巣があり、その病原菌が血流によって関節内に運ばれる(血行性)
2 周囲の軟部組織(皮膚、脂肪、筋肉など)や、骨に生じた感染が関節内に波及する
3 けがや手術、関節内注射などにより関節内に細菌が直接侵入する
化膿性関節炎では、関節の表面にある関節軟骨が破壊され、重篤な関節破壊がもたらされます。さらに進行すると、骨が溶ける場合もあります。進行は急速で、迅速な診断と治療が重要です。
診断は、関節を穿刺(せんし/注射針などを刺し、内部の体液を採取すること)し、関節内にたまっている膿を確認して行います。また、採血をすると、白血球の増加やCRPというタンパク質の上昇、赤沈(赤血球沈降速度)の亢進といった変化がみられます。初期のレントゲン検査では病変がわからないことも多いですが、病気が進行してくると関節の破壊像や骨の虫食い像がみられます。診断が困難な場合には、MRI検査を受けて確認することもあります。
治療は、手術による関節内の洗浄と抗生物質の全身投与を行います。一度破壊された関節は元通りには戻らないため、関節破壊により疼痛(とうつう/痛み)が残ったり、関節が不安定になったりした場合には、関節固定術などが行われます。
化膿性関節炎の症状として、関節の疼痛(とうつう/痛み)、発赤(皮膚が赤くなること)、腫脹(腫れてふくらむ)、熱感(熱を持つこと)などがみられます。また、発熱や全身倦怠感といった全身症状が出ることもあります。高齢者で膝などの関節内注射を受けて、数日後に上記のような症状が出現してきた場合には、すぐに医療機関を受診しましょう。
また、乳幼児期の股関節にもみられることがあり、突然、片方の足(股関節)を痛がって動かさなくなるなどの症状が現れた場合には注意が必要です。
糖尿病の方、血液透析療法を受けている方、副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬を長期間使用している方などは、感染に対する抵抗力が低下しているため、化膿性関節炎にかかりやすくなります。そのため、十分に基礎疾患を治療することが大事です。また、関節内注射を受けるときは、皮膚の清潔さを保つことが必要です。
解説:小島 博嗣
有田病院
整形外科部長 兼 人工関節センター長
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