済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
2018.01.30
骨内に硝子軟骨(ガラス状の軟骨)を形成する良性腫瘍です(図1)。単発性と多発性があり、骨格の片側に多発するとOllier(オリエール)病、それに血管腫を合併するとMaffucci(マフッチ)症候群と、最初に報告した者の名前がついています。
多発性内軟骨腫症は、多発性骨軟骨腫症と異なり遺伝性はありません。手足の甲の骨(短管骨)によく起こり、上腕骨や大腿骨にも発生します。単発性の多くは症状に乏しく、軽くぶつけただけで病的骨折をして見つかることが多いです。
診断は、レントゲン・CT・MRI検査を行ないますが、大腿骨や上腕骨などの大きな骨に発生した場合、低悪性度の軟骨肉腫との鑑別が問題となることもあります。
治療は、無症状であれば経過観察のみですが、病的骨折例では骨癒合した後に、病巣を掻き出して(掻把術)、人工の骨を詰めるなどの処置をします。
図1: 内軟骨腫
多発性は手足が腫れて、変形してくるのですぐに気づきますが、発症数は非常に少ないです。しかし、多発性では、悪性転化(二次性軟骨肉腫)する場合があるため、急速な骨腫瘍の増大や疼痛には注意が必要です。
一方、単発性は症状に乏しく、発見されないまま一生を過ごす人もいます。そのため、実際にどれくらいの数の患者さんがいるかはわかりません。病的骨折によって初めて発見されることが多く、早期発見は困難です。
発症の原因は不明で、現時点で予防の手段はありません。Maffucci症候群の患者さんでは、二次性軟骨肉腫だけでなく、胃がんなど他の悪性腫瘍になる可能性が高く、注意が必要です。
解説:竹内 克仁
済生会横浜市南部病院
整形外科部長
※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。