済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
2017.12.18
骨にできる悪性腫瘍の中で、最も有名な病気です(肉腫とは、広い意味の「がん」ですが、骨や筋肉・脂肪・神経・血管などに発生した悪性腫瘍を「肉腫」といいます)。発症頻度は、人口50万人あたりに1人とまれで、日本での年間発症数は約250例です。発症年齢は、10~20代の若年者に多いですが、60代以降の人もいます。また、他のがん治療で行なわれた放射線照射後に発症する二次性骨肉腫の存在も知られています。発生部位は、膝関節周囲や上腕骨近位に多いです。
診断はまず、X線・CT・MRIなどの画像検査によって骨に破壊性の病変があり、腫瘍性の骨形成を伴っていることを確認します(図1)。その後、他の骨腫瘍と鑑別するために生検(患部の一部を取って調べる検査)を行ない、病理組織診断をつけて確定診断とします。
治療は、手術と化学療法が行なわれます。手術は、広範切除術といって、腫瘍を周囲の健常な組織で包み一塊として摘出する切除を行ないます。まれですが、病的骨折例や発生部位・大きさによっては、切断術を選択せざるを得ない場合もあります。切除後の再建には、腫瘍用人工関節(小児ではオーダーメイドの伸長型人工関節)が多く使用されています(図2)。症例によっては、摘出した腫瘍骨に温熱処理や液体窒素処理を行ない、自家骨移植※とともに体内に戻して内固定する生物学的再建も行なわれています。
骨肉腫は、昔は不治の病などといわれていましたが、現在では化学療法(抗がん剤治療)によって劇的に生命予後が改善し、初診時に遠隔転移がない症例では、5年生存率は70%を超えるまでになっています。
※自家骨移植: 患者さんの腓骨や腸骨など、自分の骨から採取した骨を移植する方法
図1: 骨肉腫(膝関節)
図2: 腫瘍用人工膝関節置換
※骨膜反応: 腫瘍が骨の表面を覆っている骨膜を押し上げたときに生じるもの
若い年齢に生じることが多い病気です。症状として、発症部位の腫れと痛みを伴いますが、10代に多いということもあり、「成長痛」と自己判断している場合もあります。明らかな怪我をしていないのに、1カ月以上痛みが引かない場合や腫れがある場合は、自然に治るだろうと思わずに一度病院で診察してもらうことをお勧めします。
発症の原因は、現在でも不明です。骨が成長する時期によく発症しますが、高齢者での発症や、放射線照射骨の二次性発症もあり、メカニズムが複雑です。原因遺伝子はまだ特定されていませんが、一部の症例では神経芽腫やLi-Fraumeni(リ・フラウメニ)症候群と関係があるといわれています。
解説:竹内 克仁
済生会横浜市南部病院
整形外科部長
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