済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
2018.02.14
腫瘍性の軟骨を形成する悪性骨腫瘍で、骨肉腫に次いで2番目に多いです(肉腫とは、広い意味の「がん」ですが、骨や筋肉・脂肪・神経・血管などに発生した悪性腫瘍を「肉腫」といいます)。30~50代に多く発症し、骨盤・大腿骨・上腕骨によく起こります。始めから軟骨肉腫が発生する場合と、良性軟骨性病変が悪性転化して生じる二次性軟骨肉腫(全体の10~20%)の2つのタイプがあります。骨肉腫に比べると比較的ゆっくりと進行し、5年生存率は70~80%です。進行が遅いため自覚症状が軽く、医療機関を受診するタイミングが遅れることがあります。
診断はまず、レントゲン・CT・MRIなどの画像によって骨破壊を伴う石灰化病変があることを確認します(図1)。その後、他の骨腫瘍を鑑別するために生検(患部の一部を取って調べる検査)を行ない、病理組織診断をつけて確定診断とします。
治療は、基本的に手術療法のみで、化学療法や通常の放射線治療は効果が期待できません。手術は、広範切除術と言って、腫瘍を周囲の健常な組織で包み一塊として摘出する切除を行ないます。まれですが、発生部位によっては、切断術を選択せざるを得ない場合もあります。切除後の再建には、腫瘍用人工関節が多く使用されています(図2)。近年、切除不能部位にできた軟骨肉腫に対して、重粒子線治療が行なわれることもありますが、課題は少なくないのが現状です。
図1: 軟骨肉腫(大腿骨)
図2: 全大腿骨置換術
進行が比較的遅いため、痛みを感じたとしても慣れてしまい、半年や一年放置してしまうことが少なくありません。自覚症状があれば早めに医療機関を受診しましょう。また、良性の軟骨性病変があることがわかっている場合は、30代以降で悪性転化する可能性があることを知っておくことで、二次性軟骨肉腫を早期に発見することが可能です。
現時点で原因が不明なので予防の手段はありません。
「早期発見のポイント」で述べたように、痛みを自覚したら放置せず、早めに医療機関を受診しましょう。
解説:竹内 克仁
済生会横浜市南部病院
整形外科部長
※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。