済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
2019.07.24
ジャンプやダッシュなどによる膝関節の屈伸動作を、頻繁にかつ長時間にわたって行なうことで起こる障害です。バレーボールやバスケットボールなどジャンプ動作を長時間繰り返したり、サッカーのキック動作やダッシュなどを何度も行なったりすると生じることが多々あります。スポーツを活発に行なうようになる10代に多く発症します。
膝蓋骨(しつがいこつ=膝の皿)下部にある膝蓋靭帯(しつがいじんたい)は、スムーズに膝関節の曲げ伸ばしをするための役割を果たしています。しかし、屈伸動作を繰り返し行なうと、膝蓋靭帯に過度な伸張ストレスがかかり、膝蓋骨の大腿四頭筋腱(太ももの前面にある筋肉と膝蓋骨をつなぐ腱)や膝蓋靭帯に付着する部分に痛みを生じます。
膝蓋靭帯と膝蓋骨がくっついている部分の下から3分の2に沿っての痛みがほとんどですが、そのほかに、大腿四頭筋腱が膝蓋骨上部に付着する部分に痛みが出ることもあります
図:ジャンパー膝が起こりやすい場所
重症度で下記の4段階に分けられます。
軽症 :スポーツ活動中に痛みを感じますが、活動後は痛みがなく運動に支障はありません。
中等症:スポーツ活動中や活動後も痛みがありますが、運動は支障なく行なえます。
重症 :常に痛みがあり、スポーツ時にはさらに痛みが増すので運動に支障が生じます。
最重症:膝蓋靭帯の部分または完全断裂を生じ、日常生活への支障をきたすので手術適応になります。
ダッシュ、ジャンプ時に、膝蓋骨下部や上部に痛みを感じたら発症を疑うべきです。発症初期では、歩いているときに痛みは出ませんし、運動の継続は可能です。しかし、膝蓋骨から膝蓋靭帯に付着する部分を指などで圧迫すると痛みが出ます。また、腹ばいの状態で膝を曲げると、うずくような痛みのため臀部が上がる〝尻上がり現象〟がみられ、太もも前面の突っ張り感と痛みが出ます。
症状が進むと、炎症部分が腫れ上がって熱っぽさを感じるようになり、その場合はMRIで炎症を認めることが可能です。
運動量が原因の、いわゆる膝の使い過ぎによる膝のスポーツ障害であり、大腿四頭筋の柔軟性不足と筋力以上の負荷が問題になります。運動前のストレッチや基礎運動が予防の基礎です。
●軽症
太もも前面のストレッチと練習後に行なう膝のアイシング(運動後に特定の部位を冷やすこと)を徹底しましょう。スポーツをするときは、サポーター装具をつけると膝への負荷を軽減できます。
●中等症
ジャンプ動作をやめ、膝と股関節を中心とした下肢(股関節から足の指先まで)の運動療法とアイシングを行ないます。痛みが軽減していけば、この方法で3、4週間で痛みがなくなります。痛みが軽減しなければ、スポーツ運動量を相対的に減量すべきです。
●重症
月単位での運動休止が必要となり、下肢の筋肉のバランス改善を目的としたストレッチを行ないます。歩行時に痛みを伴うので、歩くときの姿勢が崩れないように注意する必要があります。重症の状態になる前に気づいて、早めに治療し、慢性化しないように注意しなければいけません。
解説:堀越 万理子
湘南平塚病院
リウマチ関節外科部長 兼 リウマチ・関節センター長
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