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腱鞘炎

Tendovaginitis

解説:森崎 真介 (済生会滋賀県病院 整形外科副部長)

腱鞘炎はこんな病気

腱鞘炎(けんしょうえん)は手の使い過ぎにより指や手首の関節に痛みが生じる疾患です。手の腱のうち、指を曲げる方向に働くのが屈筋腱、伸ばす方向に働くのが伸筋腱です(図1)。腱は腱鞘というトンネルの中を滑走します。手を使い過ぎると、腱と腱鞘の間で摩擦が起こり、腫れます(図2)。安静にして手を使わなければ腫れはひきますが、使い続けると腫れがひかず、痛みを伴います。また、腱がひっかかって、縮んだばねのように指が開かなくなる現象が起きます(図3)。そのため、「ばね指」とも呼ばれます。

腱鞘炎

腱鞘炎の症状

手のひら側に痛みが生じるのは、多くはばね指です。グーの形にして(こぶしを握って)手を開いたときに、かっくんと遅れて伸びるような状態になります。病状が進行すれば、指の付け根に痛みを伴います。どの指にもなりますが、親指が最も多く、中指や薬指がそれに続きます。重症になると、自力では伸ばすことができなくなります。

指を伸ばす側の腱鞘炎もあります。頻度が多いのは、親指の付け根に生じるドケルバン病というものです。親指を他の指で握った状態で、小指側に手首を曲げると、痛みが出ます(図4)。この場合は、親指を伸ばしたり開いたりする動作が障害されます。

ドケルバン病

腱鞘炎の治療法

使い過ぎが原因であることが多く、指の曲げ伸ばしをあまり行なわないことが重要です。ひっかかるかどうかを試す動作もなるべく控えるほうがよいです。また、夜間に指を伸ばしてテーピングすると指の安静になり有効です。ただし、指を全く動かさないと、関節が固くなってしまうので、一日のうちに何度か指をストレッチしておくことが大切です。ほかにも、塗り薬で症状が軽減することもあります。それでも治らない場合は、注射を試します。注射でも症状が改善しない場合は、外科的手術を行ない厚くなった腱鞘を切開します。

早期発見のポイント

指を動かしたときに、特定の指だけ痛かったり、ひっかかったようになり思い通りに動かなくなったりした場合に注意が必要です。完全に指がひっかかった状態が続くと、関節が固くなり、手術をしても腱鞘炎を発症する前ほど指の曲げ伸ばしがスムーズに行なえなくなる場合があります。関節や神経が原因の疾患で、腱鞘炎と同様の症状が出ることもありますので、異常を感じたら放置せず整形外科を受診することを勧めます。

予防の基礎知識

腱鞘炎は、手をよく使う人に起こりやすい疾患ですが、誰にでも起こる可能性があり、利き手でない手にも生じます。妊婦にも生じることがありますが、ほとんど自然に軽快します。糖尿病や透析中の患者さんもなりやすいです。男性より女性に多くみられ、高齢者に多いですが、子どもでも楽器やゲームが原因で生じることがあります。どの指にもなる可能性がありますが、親指が最も多く、次に中指や薬指が多いです。
このように、誰にでも起こりえるので、指や手首の使い過ぎを避けるようにしましょう。

森崎 真介

解説:森崎 真介
済生会滋賀県病院
整形外科副部長

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