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2017.12.08
膝関節の中には骨の表面のツルツルした硝子軟骨と、三日月型の半月板(線維軟骨)の2種類があります。半月板とは、膝関節の内側と外側にあるC型をした板状の組織で、衝撃吸収と膝関節を安定化する機能を持っています(図)。損傷の原因としては、スポーツで膝をねじるなどの外傷による断裂と、加齢に伴う変性で起こる断裂があります。スポーツの場合には、膝の前十字靭帯等の断裂を伴う場合もあります。また、アジア系人種に多いといわれる(3~16%程度)外側円板状半月板※の断裂は、小学生などでも膝の痛みの原因となり得ます。
※外側円板状半月板: 先天的に中央に穴がない円板状の形をした外側半月板のこと
膝関節の構造(右足)
症状は、関節内に水がたまって腫れ、膝の痛みが生じるほか、場合によっては切れた半月板が関節に引っかかり、激痛を伴って動かせなくなる「ロッキング」という症状が起こることもあります。
半月板損傷は、断裂の状態によって周囲の硝子軟骨を傷つけて、変形性膝関節症の進行を早めるため、治療が必要な場合も多いです。MRIを使って骨、靭帯、半月板の状態を評価することで「変性断裂」「水平断裂」「縦断裂」「横断裂」などの診断が可能です。
治療は、痛みの程度やロッキング、靭帯損傷の合併等から判断して、関節鏡を使った鏡視下半月板部分切除、半月板縫合術、合併靭帯の修復などを行ないます。軽度であれば、ヒアルロン酸関節注射等で経過をみることもあります。縫合が可能であれば、手術が推奨されますが、再度断裂する可能性もあります。スポーツ復帰などには数カ月が必要なため、年齢や活動性など、患者さんのニーズに合わせた治療法が選択されます。
小中学生くらいでも膝の外側を痛がる場合は円板状半月板損傷を疑いましょう。変形性膝関節症と合併している場合もあります。また、スポーツや外傷などで思い当たる原因があったり、ロッキング症状があればMRIでの診断をお勧めします。
予防するには、膝関節への過大な負担を避ける必要があります。体重が1kg増加すると膝への負担は2kg増えるといわれているので、肥満を解消することで負担を軽減することができます。また、大腿四頭筋(太ももの前面に位置している筋肉)を鍛えれば、膝関節を安定させることが可能です。スポーツの場合は、ストレッチなどによって全身の柔軟性を改善・維持することも重要です。膝への負担が少なく、効率よく筋力を鍛えてカロリー消費ができる運動として、プール内歩行がお勧めです。
解説:進 訓央
済生会八幡総合病院
整形外科部長
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