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済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
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2022.07.13
大腿骨頭壊死症は、大腿骨の先端の丸い部分である「大腿骨頭」の血流が悪くなり、骨壊死(こつえし=血が通わなくなって骨の一部が死んだ状態)が生じる病気です。骨壊死だけでは痛みは出ず、骨壊死した部分が押しつぶされ陥没することで痛みが生じます。そのため、骨壊死があってもその範囲が小さい場合は、生涯にわたり痛みが出ないこともあります。
壊死の原因がはっきりと分からない「特発性大腿骨頭壊死症」と、原因が明らかな「症候性大腿骨頭壊死症」に分かれます。特発性大腿骨頭壊死症には、ステロイド薬の使用やアルコールの多飲が壊死の発生に関与しているものや全く原因が分からないものなどがあります。症候性大腿骨頭壊死症は、股関節周囲の骨折などの外傷や、ダイビングなどに関連した動脈ガス塞栓症などで発症することもあります。
自覚症状としては、比較的急に生じる股関節部痛です。最初は腰や膝、太もも、お尻に痛みが出ることもあります。
初期の痛みは2~3週間で軽減することもありますが、大腿骨頭の陥没の進行に伴って再び痛みが強くなります。
症状や既往歴などの問診とともに、X線やMRI、CTなどの画像検査によって診断を行ないます。その上で、壊死の範囲を確定して治療方法を決定します。
治療法は、年齢、骨頭壊死の範囲と陥没の程度、痛みの状態、職業(活動性)によって決定します。
発症早期や、壊死の範囲が狭い場合は、鎮痛剤や杖などを使用するなど保存療法(手術せずに治療すること)が選択されることもあります。壊死範囲が広く、骨頭の圧壊(あっかい=押しつぶされること)や疼痛が著しい場合は手術が検討されます。
手術は主に「骨切り術(こつきりじゅつ)」と「人工関節置換術」があります。
骨切り術は、壊死した部分を体重がかからないところにずらす手術法です。骨が修復するのに時間がかかるため、日常生活に戻れるようになるまで時間を要します。
人工関節置換術は、早期から大腿骨頭に体重をかけることが可能で短期間の入院で済みますが、人工関節には耐久性の問題があります。若年の患者さんは自分の関節を残す骨切り術が第一選択となりますが、陥没が進んでいたり壊死が広範囲に及んでいたりする場合は、やむを得ず人工関節置換術が行なわれることもあります。
骨壊死が生じても、陥没がなければ症状が出にくいため早期の発見は難しいといえます。「大腿骨頭壊死症の症状」の項で取り上げたような股関節部痛などがある場合は、整形外科を受診することをお勧めします。
残念ながら、特発性大腿骨頭壊死症の発生を予防する有効な方法は現時点では確立されていません。ステロイド薬の投与やアルコールの過剰摂取の関係が指摘されており、対象となる人は注意が必要です。症候性大腿骨頭壊死症は、原因となる病気の治療を速やかに行なうことが発症予防につながります。
解説:西村 立也
石川県済生会金沢病院
整形外科 診療部長
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