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2017.07.10
さまざまな原因で唾液の分泌量が低下し、口の中が異常に乾燥している状態のことです。糖尿病や腎不全などの病気を介して起こることもあれば、ストレスや筋力の低下、薬剤の副作用で起こることもあります。
自覚症状としては、口が渇く、ネバネバする、しゃべりにくい、飲み込みにくい、味覚がおかしい、口の中や舌が痛い、ヒリヒリする、汚れやすい、口が臭い、入れ歯を装着しにくい、唇が切れる、といった症状があります。
唾液には自浄作用、消化作用、抗菌作用、粘膜保護作用など、口の中を守る大切な作用があります。そのため、唾液の減少によって口の中の衛生状態が悪くなり、むし歯や、歯周病、口腔カンジダ症などが発生しやすくなります。
歯科、口腔外科では、問診・触診のほか、口腔内診査や唾液量検査などを用いて、複合する病因を特定していきます。問診では、内服している薬、ストレス、基礎疾患(元になる病気)など、患者さんの情報についてお聞きします。
全身疾患の症状の一つとして口の中に現れることが多く、歯科と医科の連携が非常に重要です。
1.原因療法
口腔乾燥の原因そのものを取り除く治療法です。糖尿病などの基礎疾患があればその治療を優先し、薬の副作用であれば薬剤の変更や減量を検討します。ストレスが原因であれば、その対処法が必要です。
2.対症療法
乾燥や痛みなどの症状を和らげるため、人工唾液や保湿ジェルなどを用いて口の中の保湿をします。またガムを噛むことや、唾液腺マッサージなどの唾液腺刺激療法も効果的です。薬による治療には、唾液分泌促進薬があります。また、漢方薬にも口腔乾燥症に有効なものがあります。
下記の症状が気になる場合は、まず内科、歯科、口腔外科へご相談ください。歯を含めたことについては歯科、口腔外科が専門になります。
口腔乾燥症の症状
・口の渇きが3カ月以上続いている
・口の中や舌にヒリヒリした痛みを感じる
・食べ物が飲み込みにくい
・水をよく飲む
・口臭が気になる
・むし歯になりやすい
口腔乾燥になる原因はさまざまです。以下に該当する方は、口腔乾燥症と診断される可能性があります。
口腔乾燥症の原因
1. 口呼吸:鼻などに何らかの疾患があり、口呼吸を行なうことにより唾液が蒸発し、口が渇く
2. 年齢によるもの:加齢により、口の中の唾液の分泌が低下する
3. 薬の副作用:高血圧やアレルギーの薬、抗うつ薬、鎮痛剤、抗パーキンソン薬などの薬の副作用で唾液の分泌が抑制される
4. 病気によるもの:脱水、糖尿病、唾液腺の病気、シェーグレン症候群、更年期障害などを介して唾液の分泌が抑制される
5. 精神的ストレス:唾液の分泌は自律神経でコントロールされているため、ストレスがかかると交感神経が刺激され、唾液の分泌が抑制される
予防には、食事の際には食べ物をよく噛み、唾液の分泌を促しましょう。規則正しい食生活や生活リズムを保つことや、ストレスをためすぎないことも大切です。喫煙やアルコールを摂取される方は、量を控えましょう。
解説:竹縄 隆徳
山口県済生会下関総合病院
歯科口腔外科医長
※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。