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2018.09.27

婦人科ってどんなところ?

婦人科ってどんなところ?

婦人科と聞くと、「妊娠したらお世話になるところだから、それ以外は関わることがない」と考える人が多いのではないでしょうか。実は、日頃の月経や更年期障害など女性特有の症状で困ったときに気軽に相談できる場所なのです。あらゆる年代の女性・母子を看護で支える「母性看護専門看護師」に、婦人科でできることについて聞きました。

婦人科でできること

婦人科では、月経の悩みから妊娠に関すること、子宮筋腫などの子宮の病気、更年期障害など、思春期から老年期における女性特有の病気や症状すべてを扱います。月経がいつもと違う、更年期になってつらいことが増えた、といったちょっとした気になる症状も、気軽に相談することができます。女性特有の不調は精神面も大きく影響しますが、本当に精神的な問題なのか、身体に異常は発生していないか、内診などできちんと判断してくれるのも婦人科です。済生会三条病院で「ウィメンズヘルス外来」を開設した、母性看護専門看護師と助産師の資格を持つ看護部の吉森容子さんにお話を聞きました。

受診前に知っておくとよいポイント

婦人科では、子宮がんなどの婦人科がんの検診も行なっています。また、検査や治療だけでなく、ピルの処方や月経日を調整する相談なども可能です。診察の際には問診、触診のほか、必要に応じて膣に指や器具を入れて子宮などを調べる内診を行ないます。初めての内診は不安になるかもしれません。しかし、内診は必ず医師から診察方法の説明があるほか、思春期の女性の場合は問診や腹部上からのエコーのみが一般的なので安心してください。
持ち物や服装についてもあまり神経質になることはありませんが、着替えやすい服装がよいとされています。ほかに、ナプキン(がん検診や内診で出血する可能性がある)、基礎体温の記録、お薬手帳などを持参するとよいでしょう。
特におりものや性感染症の検査の場合は、事前に洗いすぎると正しい判定や診断ができなくなる可能性があるので、注意しましょう。
内診は、医師が膣内を触診して腫瘍などの有無を調べる方法と、器具を入れてエコーで検査する方法があります。

内診の方法

年代別注意すべき症状・病気

年代によって現れる症状、病気はさまざまです。次のような症状があったら、婦人科を受診するようにしましょう。また、がんなど年齢を重ねると罹患率が高くなる病気もあるので、定期的に検診を受けましょう。

●全年齢

不正出血。特に閉経後は、子宮頸がん、子宮体がんなど重大な病気のサインかもしれないので要注意です。

●思春期(10歳〜18歳ごろ)

満18歳を過ぎても初経がない(原発性無月経)。中学校を卒業した後も初経がなければ、一度受診することをお勧めします。

●10〜20代

月経に関する悩み。月経前にイライラや抑うつ状態、頭痛、腹痛などの症状がある(月経前症候群/PMS)、月経中に腹痛や腰痛、嘔吐、食欲不振などがある(月経困難症)、月経血の量が多い(過多月経)といった症状があります。日常生活に支障が出るほどでなくてもつらいと感じるようであれば、受診しましょう。重い月経痛を放置すると、子宮内膜症が進行したり、それにより不妊になったりする場合もあります。

●20代

子宮頸がんの定期検診を受けましょう。20代になると、子宮頸がんの発症率が高くなります。自覚症状はなく、ある程度進行してから不正出血をきっかけに気づく場合もあります。2年に1回は定期検診を受けるようにしましょう。子宮頸がんに限らず、婦人科の病気について知ることも大切です。

●20〜40代

卵巣の病気に注意しましょう。卵巣は「沈黙の臓器」と呼ばれ、症状がかなり進行するまで自覚症状がないのが特徴です。自治体などの子宮頸がんや子宮体がんの検診では、卵巣まで検査することはあまりありません。40代になると卵巣がんの発症率も上がるので、症状がなくても病院の検診を定期的に受けることをお勧めします。
卵巣の病気で、卵巣に腫瘍ができる「卵巣のう腫(らんそうのうしゅ)」があります。ほとんどの場合日常生活に支障はありませんが、卵巣のう腫と子宮がつながっている部分がねじれる「卵巣のう腫茎捻転(らんそうのうしゅけいねんてん)」を起こすと、激しい腹痛があり手術が必要です。
また、妊娠の可能性があるとわかったときには、自覚症状がなくても速やかに受診しましょう。妊娠初期には流産、子宮外妊娠などのリスクがあります。

●40〜50代

更年期のつらい症状。45〜55歳の更年期になると、汗が止まらない、動悸がするといった「ホットフラッシュ」とよばれる症状が現れます。漢方や、女性ホルモンを投与するホルモン補充療法で症状が改善する可能性があります。日常生活に支障が出るほどではないからと受診をためらう必要はありません。まずはかかりつけ医に診てもらいましょう。

●閉経後(50代〜)

不正出血。閉経後の不正出血は子宮頸がん、子宮体がんなどの病気のサインである可能性があります。月経や妊娠がなくなると受診しづらいかもしれませんが、早めに婦人科にかかりましょう。
また、内臓を骨盤で支える骨盤底筋が緩むと、子宮脱、膣脱など、臓器が膣の外に出る骨盤臓器脱も増えてきます。下腹部に違和感がある、子宮が下がってきたと感じる、残尿感、尿漏れ、頻尿がある、といった症状は子宮脱の可能性があります。閉経後は骨粗しょう症のリスクも上がります。もろくなった背骨が外部からの衝撃でつぶれてしまう骨粗しょう症性椎体骨折を防ぐために、定期的に骨の状態などを検査しましょう。

 

気になることや日常生活でつらいことがあれば気軽に受診を

思春期や妊娠前、閉経後の女性にとって、婦人科を受診するのは抵抗があるかもしれません。「この程度で病院に行くのは…」とためらうこともあるでしょう。しかし、日常生活を送る上でつらいと思うことがあれば、我慢しすぎず受診しましょう。相談しやすいかかりつけの医師や看護師(保健師)、助産師がいると、病気の予防や症状からの早期回復ができ、QOL※の改善が期待できます。
自分の身体をよく理解することが大切です。例えば月経の周期や量、どういうときに痛みが強くなって、どうすると治まるかなどを知っておくと、相談しやすくなります。

※Quality of Life=生活の質。満足して生活できているかを指す言葉

新潟県済生会三条病院「ウィメンズヘルス外来」について

新潟県済生会三条病院の「ウィメンズヘルス外来」では、女性特有の悩みを母性看護専門看護師に気軽に相談できます。何かしらの症状がある患者さんの話を聞き、生活習慣や食事内容を一緒に振り返り、アドバイスします。また、どのような治療法があるのか説明したり、必要があれば医師と連携したりもしています。昨年度は同外来を訪れた患者さんの約3分の1を、症状に応じて各診療科につなげました。開設して約2年が経過しましたが、これまで71件の相談があり、うち約半数は月経困難症や月経前症候群(PMS)など月経に関する相談で、ほかに断乳や子宮脱などの相談がありました。

 

吉森 容子

解説:吉森 容子
済生会三条病院

看護部主任、母性看護専門看護師、助産師

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