済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
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消化されなかった食べ物や塩分、水分、腸内細菌の死骸、腸の粘膜の細胞がまとまって排出されるものが便です。
普段は意識しないことですが、排便の仕組みをご存知でしょうか? 直腸に便がたまると、脳から肛門の内側の筋肉を開く指令が出ます。しかし、トイレにいない場合など、便をする状態でないときには、肛門の外側の筋肉を使って排便を我慢します。そして、排便ができる状態になると、肛門の外側の筋肉をゆるめる指令が脳から出て、同時におなかに力を入れる指令が起こるのです。
大人の場合は、この調節をすることが容易ですが、子供にとっては調節が難しく、ちょっとした刺激でうまく排便ができなくなります。
排便の仕組み
便秘とは、便の回数が少ないか、出にくい状態のことをいいます。排便が週に3回未満であったり、便を出すときに痛みや出血がある場合も便秘です。腸に便がたまり過ぎた結果、便が肛門を塞いでしまっている状態を便塞栓といい、こうなってしまうと、たまっている便を取り除く処置が必要です。
便秘を放っておくと腸内で便の水分が吸収され、だんだんと硬くなります。硬い便を出すときには肛門が痛みます。そのため、子どもは排便を我慢したり、足をクロスするなどして肛門を強く締めるようになります。便はしばらく我慢をしていると出なくなるので、そのまま大腸に残ります。そうすると、ますます水分が吸収されて便が硬くなるという悪循環になります。このような状態が続いていると、便が常に腸内にある状態が続いて腸が鈍感になり、便意が生じにくくなります。
便秘のほとんどは原因がわからない「機能性便秘症」と呼ばれています。しかし、体質的なもののほか、腸や肛門、ホルモンや神経の病気のために起こる便秘もあるので、注意が必要です。生後すぐにはじまった便秘や、強い腹痛、おう吐のほか、体重が増えないといったほかの症状を伴う便秘の場合には、別の病気が隠れている可能性もありますから、一度医師に診てもらってください。
便秘に対して、『水分補給が効果的だ』という話を聞いたことがある人は多いと思います。しかし、ある実験結果から、便秘の人に対して水分補給をしても、尿の量は増えますが、便の量は変わらないことがわかっています。ただし、夏場は気温が高く、汗をたくさんかきます。脱水状態になると、便の水分量が少なくなって硬い便になり、便秘の原因となることがあります。脱水の予防が、夏場の便秘予防になりますので、意識的に水分と塩分を補給するようにしましょう。
便秘を予防するためには、生活習慣の改善が重要です。すぐに目に見えるような効果がでるわけではありませんが、便秘の予防としてだけではなく、健康にとってもよいことなので、積極的に取り入れてください。
早寝早起きをし、規則正しい生活をすることが大切です。特に、学校や幼稚園に行く前に忙しくしてトイレの時間を取れないと、便秘が起こりやすくなります。朝食後1時間以内くらいで、トイレの時間を取れるようにしましょう。
バランスのとれた食事を3食きちんととりましょう。おやつを食べすぎてご飯が少ないと便秘になりやすいので、決められた時間のおやつ以外は控えるようにしましょう。
体を動かすことは腸の運動を活発にして、便通をよくするといわれています。散歩や掃除などの軽い運動でもよいので、なるべく体を動かしましょう。ただし、体の水分量が足りなくなると、便が硬くなり、便秘の原因になるので、運動する際には水分摂取を心がけましょう。
通常、気温は150㎝の高さで測ります。しかし、子供の身長は150㎝より低い場合がほとんど。例えば、東京都で気温が32.3℃だったときに、幼児の身長である50㎝の高さでは、35℃を超えていました。大人が暑いと感じているときには、子供はそれ以上の暑さの中にいるのです。このような環境に長時間いると、汗を大量にかき、便秘の原因になるだけではなく、熱中症の危険もあります。夏場の外出時には、大人と子供の身長の違いにも気を付けてください。
解説:十河 剛
横浜市東部病院
小児肝臓消化器科 副部長