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2016.05.11
腰椎分離症は、腰椎に圧力がかかり骨折することにより生じます。脊椎(背骨)の一部である腰椎は、第1腰椎から第5腰椎までの5つの椎骨によって構成されています。この椎骨の前方部分を椎体、後方の部分を椎弓といいます。椎弓の一部は衝撃に弱く、ジャンプや腰をねじるなどの激しい運動の繰り返しでひびが入り、さらに圧力が加わることで疲労骨折を起こすことがあります。これが腰椎分離症です。好発部位は、傾斜がきつく圧力のかかりやすい第5腰椎です。
腰椎の構造と腰椎分離症
腰椎分離症は、骨が未発達である成長期の子どもが、スポーツの練習などで繰り返し腰に負担をかけることで発症する例が多く報告されています。また、スポーツ選手の約30%が腰椎分離症であるともいわれています。
症状は、腰、尻、太ももの痛みやしびれで、腰を反らせたときに痛みが増すこともその特徴の一つです。痛みの発生原因は、分離した箇所に新しく作られる骨が、神経にぶつかるためだといわれています。必ずしも痛みが発生する病気ではありませんが、年をとってから、腰椎分離症が原因の痛みが発生する場合もあります。
腰椎分離症を治療せずに放置しておくと、脊椎すべり症の一種である分離すべり症に進行していくことがあります。分離すべり症とは、骨の分離が引き金となって、腰椎が前方や後方にずれる病気です。これにより神経が圧迫され、腰痛が引き起こされます。分離すべり症は慢性的な腰痛の原ですので、違和感を感じたら速やかに整形外科を受診しましょう。
スポーツを過度にしている成長期の子どもが腰痛に悩んでいる場合は、腰椎分離症を疑いましょう。早期に発見できれば、コルセットによる固定で治療することができます。ただし、コルセットによる治療は、骨が未熟な子どもだけに可能な方法です。大人の場合は、鎮痛薬で痛みをコントロールする治療法が大半です。それでも改善せず、日常生活に支障が出る場合は手術を検討します。
腹筋や背筋を鍛えたり、ストレッチをしたりするなど、普段から腰を支える筋力を鍛えておくことが腰椎分離症の予防につながります。
腰椎分離症と診断された場合は、慢性腰痛の原因となる分離すべり症にまで進行させないことが大切です。椎骨が分離を起こしていると、必要以上に腰に負荷がかかりますので、激しい運動は控え、腰への負担が軽くなるような生活に改めましょう。
解説:新井 嘉容
川口総合病院
整形外科主任部長
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