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筋膜炎

Fasciitis

解説:堀越 万理子 (済生会湘南平塚病院 リウマチ関節外科部長 兼 リウマチ・関節センター長)

筋膜炎はこんな病気

図:筋肉の断面

筋膜炎は、筋肉の使い過ぎによって筋膜(筋肉を覆う薄い膜)が水分を失って硬くなり、柔軟性を失った状態をいいます。骨格筋(骨を覆う筋肉)は一般に紡錘形(円柱状で中央が太く、両端が次第に細くなる形)をしていて、両端は細長く腱を形作り、関節を挟んで位置する骨にそれぞれ付着しています。この紡錘形の筋は筋膜に覆われており、ブロックとして収縮することで関節の運動を可能にしています。しかし、筋膜炎を生じると筋肉全体が縮んで伸びなくなることで柔軟性を失い、筋膜が膠着(こうちゃく)します。この部分は「トリガーポイント」と呼ばれ、強く痛みを感じる点のことです。筋膜の短縮に伴う機能障害によってうずくような痛みを引き起こし、少し離れた場所に痛みを発生させることもあります。筋肉と骨は筋膜を通じて全身でつながっているため、筋膜炎は体のさまざまな場所で起こります。

特に後頭部、首、肩甲肩関節の周囲、背中や腰、足の裏に痛みが生じやすいです。

図:筋膜炎を引き起こしやすい部位

筋膜炎の原因

筋肉の使い過ぎや、逆に長時間同じ姿勢のまま動かないことによって筋膜が硬くなり、周囲と癒着して炎症を起こすことで痛みを生じます。また、足裏の筋膜炎はランナーに多くみられます。

筋膜炎の治療法

基本的には、痛みがある筋肉を必要以上に使わないようにすることです。炎症が慢性化しないうちに、鎮痛消炎剤の内服、トリガーポイントへのブロック注射(局所麻酔剤を注射し、痛みを和らげる)なども必要でしょう。トリガーポイントの指などで圧迫して痛みが出る点や、硬いしこりとして触れる過敏点に局所麻酔剤を注入するブロック注射には、筋膜の癒着を改善し、痛みを緩和する効果があります。

早期発見のポイント

長時間同じ姿勢のまま動かないことや、筋肉の使い過ぎが原因です。そのような状況が思い当たるときに、痛みがトリガーポイントの部位と当てはまり、硬いしこりや指などで圧迫して痛みがみられると、筋膜炎を診断されます。同じ状況が続くと、症状が慢性化し、筋膜の癒着の範囲が拡大して機能障害が進行するため、治療が難しくなります。

予防の基礎知識

関節のストレッチを常に心がけ、筋肉の柔軟性と筋力を維持していくことが予防の大前提です。その上で、同じ部分に通常以上の負荷を長時間かけないことが重要です。筋力は20~30代がピークで、その後はいかに筋力を維持・強化できるかが大事ですが、年代とともに退化するものでもあるので、常に自分の筋肉量に応じた運動量を考え、筋肉の使い過ぎに気をつけることが基本です。

堀越 万理子

解説:堀越 万理子
済生会湘南平塚病院
リウマチ関節外科部長 兼 リウマチ・関節センター長

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