済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
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2021.08.11
突発性発疹はヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)もしくはヒトヘルペスウイルス7型(HHV-7)によって起こる感染症です。突然の高熱と解熱前後の発疹が特徴です。
ヒトヘルペスウイルス6型は生後6カ月~2歳までにほとんどすべての子どもが感染します。生後6カ月まで感染しないのは、胎児期に母親の血液から移行した抗体が身体に残っているためです。
感染すると身体の中に一生潜伏し続ける特徴があり、潜伏していても症状としては何も現れません。すでに体内にウイルスを持っている両親から子どもへ感染することが多く、発熱がある人が周りにいなくても、突然子どもに発症します。また、保育所では突発性発疹を感染した子どもから別の子どもに感染することも起こり得ます。
ヒトヘルペスウイルス7型は6型よりも感染頻度は少ないですが、同じ感染経路で2~4歳の頃に感染します。突発性発疹に2回感染する子どもがいるのはこのためです。どちらに感染しても症状はほとんど同じですが、ヒトヘルペスウイルス6型の感染では多くの子どもに発疹が出るのに対して、7型は一部の子どもにだけ発疹が現れます。
3~4日間、38℃以上の発熱があり、解熱して1日以内に顔面や全身に紅斑や丘疹(ぶつぶつ)などの発疹が現れるのが典型的な症状です。発疹が出てから再度発熱することはありません。
発疹が出現するまでは突発性発疹かどうかは分かりませんが、以下のような症状があれば突発性発疹を疑います。
・高熱があっても比較的機嫌がよい
・咳や鼻水といった感冒症状がほとんどない
・便が少しゆるい
・生後6カ月以降で初めての高熱
また、合併症として発熱期間に熱性けいれん(38℃以上の発熱に伴うけいれん)を起こすことがあります。
月齢や年齢を踏まえ、上で記したような高熱後の発疹出現などの症状をみて診断します。
ウイルスを直接攻撃する特効薬はなく、自然に治るまでは症状を緩和する解熱剤で経過をみることが多いです。感染しても比較的元気な子どもが多く、その場合は高熱があっても解熱剤は不要です。発疹はかゆみを伴うことがほとんどなく、自然に消失します。解熱していれば保育所への登園も可能です。
子どもの状態(顔色、意識状態、水分摂取、けいれんの有無など)を観察しましょう。
高熱が出ていても、子どもの状態がよければ、慌てずにかかりつけの小児科を受診しましょう。
熱が上がる際に熱性けいれんを起こすことがあります。通常、けいれんは数分でおさまります。
特別な予防法や予防接種はありません。
通常、予後は良好で、対症療法(病気の原因ではなく症状に対して処置すること)で経過観察を行ないます。
解説:岩城 拓磨
香川県済生会病院
小児科部長
※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。