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2015.01.21
片頭痛は、特に病気があるわけではないのに繰り返し起こる一次性頭痛で、こめかみから目のあたりにかけて「ズキンズキン」と脈を打つような痛みを感じます。何らかの理由で、頭の血管が過度に拡張することなどが原因と考えられています。
小児・思春期で最も多い慢性疾患の一つで、小中学生の4.8~17.2%(成人の場合8.4%)が片頭痛だと報告されています。
小児の場合、成人と比べて痛みの持続時間が短いほか、頭の両側に感じることが多く、頭痛以外の症状(顔面蒼白、嘔吐、腹部症状など)が目立つことも特徴です。急に頭痛が起こって短時間で回復するために、この病気に関する知識がない人からは、仮病やさぼりなどと誤解されることさえあります。さらに、小児・思春期の頭痛の診療を的確に行なえる小児科医が少ないことが、医療体制の重要な問題となっています。
片頭痛は、ストレス(ストレスからの解放)、激しい運動、炎天下、強い光、騒音、人ごみ、異臭、朝寝坊、昼寝、寝不足、朝食抜きなど、さまざまなきっかけで起こります。また、東京都済生会中央病院における小児片頭痛患者さんの70.5%が、季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)を持っていることが分かっています。
なお、頭痛の中には、脳炎・脳症、髄膜炎、頭蓋内出血、脳腫瘍、副鼻腔炎など、他の病気が原因で起こる場合があるため、それらを見逃さないことが重要です。
まず、生活習慣を改善することを重視します。片頭痛の発作が起きたら、少し暗くした静かな部屋で頭を冷やして安静にさせ、鎮痛薬などを投与します。たとえ授業中でも、薬を飲ませたり保健室などで休ませたりしてあげるようにしましょう。
片頭痛にはさまざまな症状が伴っていることが多く、予兆(発作が起こる数時間から1~2日前)や前兆(発作が起こる直前)として現れることがあります。
予兆
・生あくび
・疲労感
・首や肩の凝り・張り
・集中力低下
・過食
・感覚過敏
・なんとなく変な感じがする
・頭がぼーっとする
前兆
頭痛が起こる前に目の前にチカチカと輝く光が見え、視野の中心から片隅にかけて部分的に見えにくくなる閃輝暗点(せんきあんてん)が現れる
片頭痛の発作中に、本来痛みを感じないような刺激で不快な痛みやしびれを感じるケースも見られます。
また、親が片頭痛を持っていると、その体質が遺伝する可能性が高いです(東京都済生会中央病院の場合、片頭痛患児431人中、親が片頭痛である確率は母親65%、父親17%)。
まずは規則正しい生活をすることが基本です。早寝・早起きをして、しっかり朝食をとり、寝すぎ、寝不足、長時間の昼寝は避けましょう。その上で、次のように誘因となるものを避けるよう心がけることが大切です。
・ブルーライトが発生するスマホ、パソコン、ゲームなどは夜間の使用を制限する
・日光や明るすぎる照明を避ける(帽子・サングラスを着用する、夜は間接照明にするなど)
・満員の電車、バス、映画館を避ける
・暖房の効きすぎた部屋、熱い風呂や長湯を避ける
・香水など匂いが強いものを避ける
・気温、気圧、天候の変化に注意する
・標高2500メートル以上の登山は控える
・アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、虫歯、咬合不全(こうごうふぜん/歯並びや噛み合わせの状態が悪いこと)などを治療し、コントロールする
・ストレスをためないようにする
片頭痛が月に何度も起こる場合や、頭痛の程度がひどい場合には、薬を使って予防療法を行なうこともあります。
解説:荒木 清
東京都済生会中央病院
小児科部長
※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。