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2020.08.05
コロナウイルス(SARS-CoV)に感染することにより発症し、急速に悪化する肺炎を起こす病気です。2003年に世界規模で流行しましたが、同年7月には終息宣言が出され、2004年以降は発生していません。しかし、このウイルス自体は絶滅したのではなく、コウモリの体内で共生しており、今後も流行する可能性はあると考えられます。
SARSと類似した重症肺炎を起こすコロナウイルス感染症には、2012年に同定されたMERS(中東呼吸器症候群)、2019年末から全世界で流行しはじめたCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)があります。
ウイルスに感染してから数日無症状の時期を経て、インフルエンザのような高熱、ふるえ、筋肉痛などの症状が3日から数日続きます。その後、せき、息苦しさなどの肺炎の症状が出現します。多くは1週間程度で軽快しますが、特定の病気の患者さんや高齢者など一部の人は急速に肺炎が悪化し、ARDS(急性呼吸窮迫症候群)、多臓器不全を合併し死に至る場合があります。また、多くの人が経過中に下痢を発症し、下痢からの感染伝播が重要な感染経路と考えられています。
年齢により致死率は大きく異なり、24歳未満では1%未満であるのに対し、65歳以上では50%以上に達します。12歳未満では症状も軽微ですが、無症候性感染者が存在するかどうかは不明です。
年齢以外にも、糖尿病や慢性B型肝炎などが予後を左右するとされています。
有効な抗ウイルス薬はなく、症状に対する治療を行ないます。これにより、健康状態を保全し自らの免疫で治癒するのを助けます。特に呼吸不全になったときの適切な酸素投与、人工呼吸による呼吸の補助は重要となります。
早期発見にはSARSの患者さんに密接に接触したかどうかを確認すること、インフルエンザや他の原因による肺炎など類似疾患を鑑別することが重要です。迅速に確定診断を行なうためには、患者さんの便、喀痰(かくたん=吐いた痰)、鼻咽腔(上咽頭)の拭い液、血液からウイルスのRNA(DNAと同じくウイルスを構成する遺伝物質)をPCR法などにより検出します。
2003年の流行は、コウモリから感染した食用のジャコウネコから人に感染し、その後は人から人へと感染が広がったと考えられています。
飛沫感染 | せきやくしゃみをして、唾液などに包まれて空気中に飛び出したウイルスに感染する。 |
接触感染 | ウイルスが付着した皮膚や粘膜に直接触ったり、手すりやタオルを使ったりして感染する。 |
※空気感染も経路として否定できないとされている。
多くの人が、患者さんとの濃厚な接触により感染し発症しています。先述の通り、残念ながら予防に有効なワクチン、抗ウイルス薬は開発されていませんが、感染経路は主に飛沫感染と接触感染で、マスクの着用、手洗いや手指消毒が予防に有効と考えられます。接触感染では下痢を介した感染が重要と考えられ、トイレの消毒、トイレ後の手洗いの徹底が必要です。
解説:德山 猛
中和病院
副院長
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