社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)

2014.10.01

脊椎圧迫骨折

compression fracture of the spine

解説:富田 誠司 (済生会茨木病院 整形外科部長)

脊椎圧迫骨折はこんな病気

脊椎圧迫骨折とは背骨が押しつぶされて変形してしまう骨折で、骨が弱いお年寄りに多いのが特徴です。尻もちをつくなど転倒が原因で起こることもありますが、重い物を持ったり、せきやくしゃみをしたりなどのちょっとしたきっかけでなることもあります。知らないうちに背骨のつぶれが進行し、背骨が丸くなってしまうこともあるので、十分に注意しましょう。

脊椎圧迫骨折

脊椎圧迫骨折の治療法

レントゲン写真やCT、MRIで骨折が見つかれば、多くの場合はコルセットで固定して治します。骨が完全に治るまでは重い物を持ったり、前に強くかがんだりといった、背骨に負担がかかる動作は避けましょう。骨密度が少ない患者さんは担当の医師と相談して、骨粗鬆症の治療を受けることが重要です。

早期発見できればコルセットや薬物治療で治ることが多いですが、なかなか治りにくく、手術しなければならない場合もあります。手術は小さな傷で、骨折部分にセメントを注入する治療から、大きく切開して金具で固定する治療までさまざまです。手術法は患者さんの身体や骨折の状態によって決められます。

脊椎圧迫骨折

早期発見のポイント

腰痛がいつまでも続くようであれば、自己判断せず、病院に行って検査を受けることをお勧めします。まず、レントゲン写真を撮って検査しますが、最初の段階でははっきりとした骨折が見当たらなくても、小さなひび程度の骨折が徐々につぶれてくることもあります。したがって、痛み止めや湿布などでも痛みが和らがない場合は、もう一度整形外科を受診し、CTやMRIなどの検査を受けるのがよいでしょう。これにより、骨折が見つかることも少なくありません。

予防の基礎知識

脊椎圧迫骨折は、一度起こると連鎖的に次から次へと発生することがしばしば見られます。したがって、定期的に骨の状態をチェックし、骨密度が低ければ、骨折を予防するために骨粗鬆症の治療を受けることが必要です。また、バランスのよい食生活や日光浴も骨粗鬆症の進行予防として重要です。さらには、転倒などを防ぐため、日常的に適度な運動を行ない、全身の筋肉を鍛えましょう。

富田 誠司

解説:富田 誠司
済生会茨木病院
整形外科部長


※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。

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