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2020.01.22
男性特有の臓器である前立腺に炎症が起こり、排尿障害や痛みなどが出る病気です。
細菌感染により急激に症状が出現する「急性細菌性前立腺炎」、同じく細菌感染が原因で徐々に症状が発生し繰り返し起こる「慢性細菌性前立腺炎」、細菌感染がなく発生する「慢性非細菌性前立腺炎」に分類されます。
急性細菌性前立腺炎では、前立腺が腫れて、38°C以上の高熱と排尿時の痛み、頻尿、排尿障害が出現します。
慢性細菌性前立腺炎・慢性非細菌性前立腺炎の場合、以下のような症状が出現します。
・排尿に関する症状(頻尿、排尿時痛、残尿感など)
・会陰部、下腹部、恥骨(下腹の骨)、腰など病原から離れた部分の疼痛(うずくような痛み)
・尿道、鼠径(そけい)部、陰のうの違和感や不快感
・射精関連症状(射精時疼痛や血精液症など)
肛門から指を入れる直腸診で前立腺を診察し、前立腺に圧痛があれば前立腺炎と診断します。急性の場合には腫れてきますが、慢性の場合は腫れないこともあります。診察時に前立腺を圧迫し、精液の一部に含まれる前立腺液を尿道から採取して炎症細胞を確認できれば、確定診断できます。
細菌感染性の場合は、性感染症の原因となるクラミジアが引き起こしている可能性があるため、クラミジア検査を行ないます。
細菌感染性の場合は、起炎菌(炎症を引き起こす原因の菌)に有効な抗生物質を投与します。原則として経口投与ですが、高熱を伴っている場合や全身状態が低下している場合は入院して抗生物質を点滴で投与します。
慢性非細菌性前立腺炎の場合は、抗生物質や鎮痛剤、漢方薬などが用いられますが、完治は難しく、根気よく病気と付き合っていく必要があります。
急性の場合は、排尿時痛や発熱が出現し急激に悪化していくので分かりやすいですが、慢性の場合にはなんとなく気持ち悪い、なんとなくすっきりしないという程度なので、受診の決断を躊躇することがあります。しかし、何かおかしい症状があれば泌尿器科を受診してください。
以下のポイントに気を付けましょう。
・長時間の座位はなるべく避ける
デスクワークの場合は1、2時間ごとに席を立ち、座位によって前立腺を圧迫し続けないようにしましょう。長時間運転する場合も、車から降りてしっかり休憩をとるようにしてください。自転車やバイクもできるだけ乗らないほうがよいかと思います。・飲酒を控える
特に、症状があるときは禁酒が必要です。・ストレスや疲れをためない
・下半身を冷やさない
解説:郷 秀人
三条病院
院長・泌尿器科
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