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2016.05.16
間質性膀胱炎は、尿が膀胱にたまったときに痛みを感じたり、頻尿をきたす病気です。診断も難しいのですが、治療も難しく、難治性の病気とされています。
主な症状は、膀胱充満時の痛み、頻尿、尿意切迫感(急に起こる、抑えられないような強い尿意で、我慢することが困難なもの)です。問題は、似たような症状が出る病気が複数存在するということです。例えば、全く別の病気である膀胱炎や過活動膀胱として診断・治療がなされてしまい、本来の間質性膀胱が一向に改善しないという場合があります。男性の場合は、慢性前立腺炎と間違われることもあります。膀胱がんの特殊なタイプである粘膜下腫瘍(CIS)とも一部症状が重なるなど、診断が難しい病気です。
間質性膀胱炎の主な症状
「膀胱水圧拡張術」という治療法が保険適用となり、よく行なわれるようになっています。これは、麻酔をかけて膀胱に生理食塩水を注入し、その水圧で膀胱を拡げるという方法です。これを行なうと、膀胱充満時の痛みや頻尿などが改善されます。しかしながら、治癒することはなかなか難しく、平均して半年もすると症状が再発することが多いようです。
今のところ間質性膀胱炎に適応のある薬はありませんが、アレルギーや抗うつ薬などが有効な人もいます。ほかに、ボツリヌス毒素を膀胱壁に注入したり、ジメチルスルホキシド(DMSO)という薬を膀胱内に入れたりする方法も行なわれています。
このように、まだ解決すべき課題の多い病気ではありますが、診断さえ難しかった以前に比べれば、少しずつ病態生理や治療法についての知見が集積されてきています。近い将来、間質性膀胱炎に悩む人に福音がもたらされることと思います。
膀胱炎と病院で診断されたものの、治療を受けても症状が全く変わらない場合や、膀胱炎症状が頻回に再発する場合は、この病気を疑う必要があります。また、女性に多い病気でもあります。膀胱炎の薬を飲んでもなかなかよくならないと悩んでいる人は、医師に相談してみるとよいでしょう。
原因そのものがまだ不明であり、残念ながら予防することは難しい病気です。ただ、心因的ストレスは間質性膀胱炎の症状を悪化させるともいわれており、ストレスのコントロールが重要と考えられます。規則正しい生活を心がけるだけでなく、生活のなかに軽い運動やストレッチを取り入れ、ストレスをためこまないようにしましょう。
解説:高野 徳昭
八幡総合病院
泌尿器科
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