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2015.11.04
心筋症は、心筋そのものの異常により心臓の機能異常をきたす病気です。肥大型心筋症は、しばしば遺伝子の異常を伴う心臓病で、心臓の肥大を起こす原因となる高血圧や弁膜症などの病気がないにもかかわらず、心筋の厚さが通常の数倍に肥大していきます。結果、左室心筋の異常な肥大によって、左房から左室へ血液が送られにくくなったり、左室から大動脈へ血液が出にくくなるという障害が起こります。
肥大というと、心臓そのものが大きくなるイメージがありますが、初期は心臓の外観の大きさは変わらず、筋肉の厚みだけが増していきます。病気が進行すると、心臓そのものも大きくなっていきます。
日本では、人口10万人あたり 約370人の患者さんがいるといわれており、決して珍しい病気ではありません。若年運動競技者の突然死の死因としても知られています。
一般的な対処法として、競技性の強い過剰な運動を避けるようにします。また、左心室が拡がりやすくなる薬や、不整脈を抑える薬、血を固まりにくくする薬なども投薬します。心不全の治療を目的として、利尿薬や血管拡張薬なども用いられることがあります。内科的治療が一般的ですが、不整脈を予防するためにペースメーカーが使われることもあります。重症の場合には、カテーテル手術や心筋切除、心臓移植などの手術が行われます。
肥大型心筋症では、無症状かわずかな症状を示すだけのことが多く、検診で心雑音や心電図異常をきっかけに診断されるケースが少なくありません。一方、症状がある場合には、不整脈に伴って起こる動悸やめまい、運動時の呼吸困難や胸の圧迫感などがあります。これらの症状を感じたら病院に行き、心エコーなどの検査をしましょう。
肥大型心筋症の約半数は、遺伝性の病気といわれています。そのため、兄弟や両親、親せきに心臓病や突然死をした方がいる場合には注意して、心エコーなどの検査を受けてみることが早期発見につながります。
この病気が発見された際に大切なことは、突然死を予防することです。若年の運動競技者の突然死の死因として肥大型心筋症は重要です。診断された際には、運動制限と薬物療法で、突然死のリスクを管理するように心がけましょう。
なお、一般にこの病気の経過は良好で、無症状のまま天寿を全うする方も少なくありません。一方で、症状の有無にかかわらず、不整脈や心機能の低下が起こることがあり、定期的に専門医のもとで経過観察を受けることが重要になります。
解説:亀山 智樹
富山病院
副院長・内科主任部長
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