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主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
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2014.11.07
夫婦の間で、避妊などせずに通常の夫婦生活を営んでいるにもかかわらず、ある一定の期間を過ぎても妊娠が見られない場合は、不妊症と診断することができます。現在、この期間は1年以上とするのが一般的です。妊娠を望むカップルの中には、大体8~10組のうち1組の割合で、1年以上妊娠が見られない不妊症のカップルが存在するといわれています。
不妊症の原因は男女どちらにもありますが、男性側が原因だと思われる場合を男性不妊といいます。男性不妊の原因は、主に以下の3つなどが挙げられます。
(1)造精機能障害
精巣やその付近で、精子を作る力が低下している状態
(2)精路通過障害
精子の通り道が詰まるか狭くなっている状態
(3)性機能障害
性行為がうまくいかない、射精ができないといった状態
造精機能障害をきたす原因として、精索(せいさく)静脈瘤という病気や染色体の異常、ホルモンの異常などがあるとことが分かっていますが、原因が分からない場合が約半数を占めています。精路通過障害の原因としては、生まれつき通り道が詰まっているか欠如している、通り道に炎症が起きた影響で詰まってしまった、他の病気の手術が影響して精子がうまく流れなくなった、などが考えられます。
原因によって治療法は異なります。造精機能障害の場合には、薬物治療や、手術で治る原因であればその手術を行ないます。精路通過障害の場合は、詰まったり欠損したりしている精液の通り道を再建する手術や、詰まっている部分より精巣に近い箇所から精子を取り出し、女性の卵子との間で体外受精・胚移植などを行ないます。性機能障害が原因と判断された場合は、勃起や射精などのうち、どの性機能に障害があるかを調べた上で、原因に応じた治療が行なわれます。
不妊症を疑う際は、まず、夫婦両方の検査が必要です。男性に原因がある場合は、「医学解説」の項目で挙げたさまざまな病態のどれに当てはまるかを調べる必要があります。不妊症かなと思ったら、不妊症専門の医療機関、あるいは泌尿器科や産婦人科などで相談してみましょう。
医療機関を受診すると、まずは問診です。問診では、これまでの夫婦生活の状況や、過去に不妊につながる病気や薬物の服用などがなかったかどうかについて詳しく話を聞かれます。次に、身体の診察です。精巣をはじめとする臓器の視診や触診で、不妊につながる異常がないかどうかを診断します。続いて、通常は精液の検査です。精液の量、精子の濃度・運動率・形態、感染の有無などが調べられます。検査の度に結果がかなり変動するので、検査前の射精しない期間を一定にするなど注意をした上で、間隔をおいて何度か検査をしてから判定するのが一般的です。異常が見つかった場合は、さらに、不妊に関わる血液検査や超音波検査、染色体・遺伝子の検査などが行なわれます。
男性不妊の中には、生まれつきなど予防しようがない原因から起きている場合もあります。しかし、日本では晩婚化が進んでおり、また、セックスレスの夫婦が増えているといわれています。さらに、日本人男性の精子数が外国の男性に比べて少ないというショッキングな報告もありました。日本人男性の男性らしさの低下が、男性の不妊と関連していることは十分に考えられます。
男性らしさを保ったり取り戻したりすることが、男性不妊症の予防につながると考えると、例えば睡眠を十分に取るなど規則正しい生活を送る、仕事上のストレスをなるべく避ける、暴飲暴食を避ける、運動不足を解消するなどといった生活上の注意が、夫婦の幸せにつながっていくといえるかもしれません。
解説:風間 泰蔵
富山病院
副院長・泌尿器科主任部長
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