済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
2014.07.23
初夏のころから、幼児が突然の発熱とともに口の中を痛がるときはヘルパンギーナが疑われます。上あごの奥に周囲が赤くなった1~数mmの小さな水疱がみられるのが特徴です。発熱したときに、一時的に意識を失ってひきつけを起こす「熱性けいれん」や、一過性に嘔吐や頭痛の症状を合併することもありますが、発熱は2~4日程度で治まります。また、口の中の痛みは2~3日でひいていき、4~5日もすれば自然に治まっていきます。患者数は例年6月から7月にかけてピークとなり、8月になると減少し、9月にはほとんど終息します。患者はほとんどが4歳以下で、1歳代が最も多くなっています。
ヘルパンギーナのほとんどは、エンテロウイルスの中のコクサッキーウイルスA群2~6型、8型、10型の感染によって発症します。感染しても明らかな症状が出ない不顕性(ふけんせい)感染もあります。ウイルスが人から人に感染することによって2~7日間の潜伏期間を経て発症します。感染ルートは2種類です。患者の唾液・鼻水が付着したおもちゃなどを触った手や、便に触れた手を介して、口から病原体ウイルスが侵入する接触感染と、くしゃみなどで飛び散った病原体ウイルスを吸い込む飛沫感染によって伝染します。
発熱などの症状を和らげる対症療法が一般的です。脱水にならないように少しずつでよいので水分をこまめに摂って、一日分の水分が足りるようにすることが重要です。口からものを食べられず、ぐったりしてきたら、脱水などの治療が必要な場合があるので、かかりつけの医師に診てもらいましょう。
口の中を痛がって、さらに発熱があるときは子どもの口の中をペンライトで照らしてみてください。上あごの奥の軟口蓋(なんこうがい)に、周囲が赤くなった1~数ミリ程度の小さな水疱や、浅い潰瘍が散在していればヘルパンギーナです。
水疱がつぶれて潰瘍になると痛みが強まり、食べ物を食べられなくなります。そのために脱水症状を起こすこともあるので、注意が必要です。また、口の中が痛むことによって、不機嫌になったりします。
唇の内側や、歯ぐき、舌、口の頬の部分に口内炎などの異状がある場合は、ヘルパンギーナ以外の疾患の可能性があります。
夏はエンテロウイルスが原因の感染症が増えます。コクサッキーウイルスA群にはさまざまな型があり、毎年複数の型が流行するため、注意が必要です。また、患者だけでなく、症状が現れていない不顕性感染の人からも感染します。患者の身体から離れたウイルスはすぐには死滅しないので、手や口で触れたものはきれいにふき取り、くしゃみなどで唾液の飛沫をまき散らさないように注意しましょう。うがいを忘れないことも重要です。
また、回復した患者の便からは2~4週間はウイルスが検出されるので、患者を介護する人は十分な手洗いを心がけることが大切です。タオルの共用も避けましょう。
解説:漆原 誠
境港総合病院
小児科副部長
※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。