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済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
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2022.10.05
プリオン病は、「プリオン」と呼ばれるタンパク質が感染性のある異常な形態に変化して脳内で増殖・沈着し、さまざまな精神症状や運動失調、認知障害などを引き起こす病気です。
プリオンには正常型と、タンパク質の立体構造が変化した異常型があります。異常型のプリオンは脳に感染すると、凝集してアミロイド線維(タンパク質の固まり)となって脳に沈着し、脳の機能を障害します。
クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)や致死性家族性不眠症など、異常なプリオンが原因の病気を総称して「プリオン病」と呼びます。
非常にまれな病気で、発症頻度は100万人に1人といわれています。
プリオン病は以下の3種類に分けられます。
孤発性:プリオン病の多くを占める。発症の原因はよく分かっていない
遺伝性(家族性):生まれつきプリオンの遺伝子に変異がある
獲得性(変異型、硬膜移植手術後など):汚染された物質から感染する
典型例では、亜急性(急激ではないが徐々に進行する)に認知機能が低下して、数カ月のうちに言葉が出なくなったり、寝たきり状態になったりするなど認知症のような状態にまで進行します。
また、異常なプリオンが蓄積する部位によっては、小脳症状(ふらつきやバランスの障害)、パーキンソン症状(手足の震えや筋肉のこわばり)、ミオクローヌス(自分の意思に反して四肢がピクッと動く)といった症状も出現します。
主に頭部MRIや脳波検査、脳脊髄液を採取する脊髄液検査などを行ないます。
プリオン病の場合、頭部MRIで大脳皮質や脳深部(基底核など)に異常信号が観察されることが多く、脳波検査では「周期性同期生放電(PSD)」という異常な脳波が出現します。
また、脳の周りを包む脳脊髄液を採取して「RT-QUIC法」と呼ばれる検査をすると、異常なプリオンが検出され診断ができます。さらに「14-3-3タンパク」や「総タウタンパク」の値が増加することもあります。
遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病では「V180I」「E200K」「P102L」などの遺伝子異常がみられ、特にV108Iでは緩徐進行性(病気がゆっくり進行する)の認知症が高齢で発症するので、アルツハイマー病など他のタイプの認知症との見極めが必要です。
残念ながら、現時点で確立された治療法はありません。症状を和らげる対症療法が中心となります。
初期症状として、めまいやしびれ、ふらつき、認知障害などが現れます。亜急性(急激ではないが徐々に進行する)、かつ不可逆的に進行する神経症状の場合、頭部MRI拡散強調画像や脳波検査を行なうことが診断のきっかけになります。
ほとんどが原因不明のまま進行しますが(孤発性)、感染によって引き起こされる獲得性のプリオン病の場合、患者さんの脳組織や脳脊髄液に接触した医療器具が感染源となる危険性があります。また、変異型では血液を介しても感染する可能性があるので注意が必要です。
解説:冨本 秀和
明和病院
院長
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