済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
2023.07.12
脳挫傷は頭部への直接的な打撃や激しい揺れにより、脳そのものが損傷した状態です。衝撃を受けた側の脳だけでなく、反対側の脳にも損傷が現れることがあります。
損傷を受けた脳の部位で機能障害が起こるほか、脳腫脹(脳が腫れた状態)を強く伴う場合は、生命に危険が及ぶこともあります。また、急性硬膜下血腫や急性硬膜外血腫など、他の外傷を合併することもよくあります。
頭痛、気分不快など軽度のものから、麻痺、言語障害(失語症など)、意識障害など重篤なものまで、損傷の部位と大きさにより出現する症状や程度はさまざまです。
脳挫傷に伴う進行性の出血や脳浮腫が増大することで、症状が悪化する場合もあります。
診断はCTやMRIなどの画像検査で行ないます。CT画像は、脳の腫れや壊死によって黒っぽく見える部分に、白く見える出血が混ざっているのが特徴です。出血が多くなってたまってくると、脳出血がみられる場合もあります。
損傷した脳の腫れが大きくなってきたり、脳内の出血が多くなってきたりした場合は、周辺部位の脳障害の予防や生命を救うことを目的に、手術が必要になる場合があります。
ただ、重症の脳挫傷では手術を行なっても、損傷した脳の機能障害により後遺症が残ることが多く、脳の腫れや出血の程度によっては救命が困難な場合もあります。
また、脳に損傷が残り、後にてんかんを発症することもあります。
頭部打撲などの外傷後に以下のような症状がみられる場合は、すぐに救急病院を受診してください。症状や受傷の原因によっては、救急車を要請することも大切です。
頭部外傷を起こさないように予防することが大切です。
自動車に乗る際のシートベルト着用、幼児のチャイルドシート利用、自転車に乗る際のヘルメット着用など、頭部の保護を心がけてください。
高齢者の転倒、階段などからの転落事故で発症することも多くなっています。転倒予防のため、家の中に手すりをつけたり、屋外では杖やシルバーカーを使用したり、脚立など不安定なものの使用を制限したりすることが重要です。階段を使わなくてもすむよう、生活環境を整えるなどの対策も有効です。
解説:井口 雅博
水戸済生会総合病院
脳神経外科 主任部長
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