社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)

2024.04.17

子宮付属器炎

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解説:金嶋 光夫 (福井県済生会病院 産婦人科主任部長・女性診療センター長 )

子宮付属器炎はこんな病気

子宮付属器とは、骨盤内臓器である子宮(妊娠したり月経を起こす臓器)に付属した卵巣(女性ホルモンを出したり排卵する臓器)と卵管(精子や卵子の通り道)をまとめたものです。

子宮付属器炎とは「卵管炎」と「卵巣炎」が同時に起こった状態を指し、卵管炎と卵巣炎は同時に起こることが多いといわれています。

「子宮内膜炎」は、腟から細菌が入り、子宮内、卵管を通じておなかの中まで広がっていく上行(じょうこう)性感染によって、子宮に炎症が発生します。炎症が卵管まで広がると「卵管炎」、卵巣まで広がると「卵巣炎」となります。さらに、炎症が骨盤内にある膀胱や直腸、子宮、卵管などの表面を覆う腹膜(骨盤腹膜)まで広がると「骨盤腹膜炎」となります。
これらは主に不衛生な性行為や、性感染症の男性との性行為などが原因で起こります。人工妊娠中絶や流産手術、子宮内膜組織採取、避妊リング挿入といった子宮内操作(子宮内に医療器具を入れて検査・診療を行なうこと)が原因になる場合もあります。

子宮付属器炎の症状

急性期の主な症状は、下腹部痛発熱・おりものの異常などです。吐き気や嘔吐などの消化器症状を伴うこともあります。また、卵管炎が原因で卵管の通過障害が起こると、不妊症子宮外妊娠などの原因になる可能性もあります。

子宮付属器炎の検査・診断

内診では、子宮付属器を強く押したときに感じる痛み(圧痛)や子宮頸部に指を入れて動かしたときの痛み(移動痛)の有無を確認します。血液検査では、白血球やCRP(炎症や細胞・組織破壊が原因で血中に増加するタンパク質)などの数値で、炎症反応の上昇を確認します。
さらに、炎症の原因となるクラミジアや細菌などの感染を調べる「おりもの検査」や、卵管や卵巣に膿がたまって腫れていないかを確認する「超音波検査」、「CT・MRI検査」を行ないます。

子宮付属器炎の治療法

急性期は、抗生剤や解熱鎮痛剤投与などによる薬物療法が基本です。軽症の場合は外来通院による内服治療、重症の場合は入院による点滴治療が必要となります。
卵管や卵巣に膿がたまった状態(子宮付属器膿瘍)で、なかなか炎症が治まらない場合は、外科的治療(子宮付属器摘出術などの手術)が必要となることもあります。

下腹部痛発熱、おりものの異常、性行為時痛などがある場合は、早めに産婦人科を受診しましょう。子宮頸部の移動痛や子宮付属器の圧痛などがあれば治療が必要です。以前は、性行為で感染した淋菌(りんきん)が原因となることが多くありましたが、最近だと、クラミジアによる腟からの上行性感染が最も多く、抗生剤の投与が必要です。ほかにも、大腸菌、黄色ブドウ球菌、連鎖球菌、バクテロイデスなどの上行性感染も原因となります。

淋菌(りんきん)やクラミジアなどの性感染症から発症することが多いため、感染者との性行為や不衛生な性行為は避けましょう。淋菌、クラミジアなどが原因の場合は、パートナーの治療も併せて行なうことが必要です。

解説:金嶋 光夫

解説:金嶋 光夫
福井県済生会病院
産婦人科主任部長・女性診療センター長


※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。

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