社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)

C型肝炎

Hepatitis C

解説:堂原 彰敏 (済生会中和病院 内科医長)

C型肝炎はこんな病気

C型肝炎とは、C型肝炎ウイルス(hepatitis c virus:HCV)に感染することにより発症する肝炎を指します。以前は、”A型でもB型でもない原因不明の肝炎”だったので「非A非B型肝炎」として分類されていましたが、1989年に米国の研究グループによりHCVが原因だと判明しました。HCVは主に血液を介し感染します。近年では内服のみの直接的抗ウイルス薬が登場し、劇的に治療効果が改善しています。

C型肝炎の症状

HCV に感染すると、30%の患者さんは自然治癒しますが、70%は感染が持続して慢性肝炎となります。慢性肝炎が続くと肝臓の細胞が壊れて肝硬変に進行し、初感染後30~40年で肝がんを発症します。さらに、肝硬変の状態では血液の流れが悪くなり、食道や胃に静脈瘤(静脈にできるこぶ)が発生しやすくなります。また、肝臓で処理できなくなったアンモニアが脳にたまり、昏睡をもたらすこともあります(肝性脳症)。これらはいずれも肝硬変によって引き起こされる重篤な合併症です。C型肝炎はほかにも糖尿病や脂肪肝、心筋障害などさまざまな疾患と関連していることが分かっています。

図:C型肝炎感染後の自然経過
C型肝炎

C型肝炎の治療法

C型肝炎の治療は、ここ数年で飛躍的に進歩しています。従来はインターフェロンというたんぱく質を注射する治療法を取っていましたが、治療効果は不十分で、うつ病間質性肺炎、甲状腺機能低下、発熱、倦怠感などの副作用がありました。そのため、特に高齢の方や他の病気を有する患者さんへの継続的な治療が困難でした。ところが、2014年に登場した治療薬(Direct Acting Antivirals: DAA)はウイルス排除率が95%前後と高く副作用も少ないため、多くのC型肝炎患者さんの治療が可能となってきています。ウイルス排除が達成されれば、肝がんの発症は抑制され、患者さんの延命につながります。

早期発見のポイント

肝硬変に進行するとさまざまな症状が現れますが、慢性肝炎の段階で目立った症状はみられません。よって、早期発見するためには、保健所や各自治体での肝炎ウイルス検診などでHCV抗体を測定する必要があります。HCV抗体検査が陽性の場合は病院でHCV核酸定量検査を受け、こちらも陽性であればHCVに感染していると診断され、治療を受けることになります。C型肝炎由来の肝硬変や肝がんの予防には、まずHCV抗体検査を受けること、そして陽性を指摘された場合には必ず病院でHCV核酸定量検査を受けることが必要です。

図:検査の流れ
C型肝炎

予防の基礎知識

C型肝炎は血液を介して感染します。感染経路としては、覚せい剤使用での注射器の使い回しや適切な消毒をしていない器具を用いた医療行為、入れ墨や鍼灸の針による事故などが挙げられます。母子感染や性交渉による感染もありますが、こちらはまれです。過去には輸血製剤を介した感染が多くありましたが、検査体制の確立により現在は心配ありません。

B型肝炎のようなワクチンの予防接種は存在しないため、感染予防のためには、次のように感染が疑われる血液への接触を回避する必要があります。

・注射器や注射針を共用しない。
・入れ墨やピアスをするときは、清潔な器具を使用する。
・歯ブラシやカミソリなどの血液が付いている可能性のあるものを共用しない。
・他の人の血液を触るときは、ゴム手袋を着ける。
・性交渉のときにはコンドームを使用する。

堂原 彰敏

解説:堂原 彰敏
済生会中和病院
内科医長


※当欄に執筆した医師の所属・役職は、異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。

関連記事

  1. A型肝炎(病名から探す | 2019.11.14)