社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)

淋病

gonorrhea

解説:武島 仁 (龍ケ崎済生会病院 副院長)

淋病はこんな病気

淋菌(Neisseria gonorrhoeae)という細菌に感染することで、生殖器を中心に炎症を起こす性感染症の一種です。性行為により男性の尿道や女性の子宮頚管のほか、咽頭粘膜(喉の粘膜)などに感染します。男性のほうが症状の出やすい感染症ですが、10~20代の若い世代では男女差は小さく、性器クラミジア感染症梅毒と同様に若い女性にも感染が拡大している感染症です。

 

淋病の症状

淋病の症状には主に次のようなものがあります。

【淋菌性尿道炎】
男性にみられる、淋菌による尿道炎のことです。性行為による感染後1週間程度で、強い排尿痛とともに大量の膿を尿道口から排泄した場合には淋菌性尿道炎だと考えられます。症状が強いと亀頭部が赤く腫れ、淋菌が尿道から精管を逆流して精巣上体(精巣に隣接し精子の通り道となっている部分)に感染し精巣上体炎と呼ばれる炎症を起こします。精巣上体炎が進行すると精巣上体は精巣よりも大きく膨張し、精巣との境界が不明となります。患部に強い圧痛を伴い、高熱を発することもあります。このような状態になると精子の通り道が閉塞し、男性不妊症につながります。

図:淋菌性尿道炎

【淋菌性子宮頚管炎】
淋菌による子宮頚管の炎症のことです。帯下(おりもの)の増加や子宮出血などがみられますが、男性のように明らかな症状は現れません。よって、感染に気づかない場合も多く、そのことが性行為による感染拡大や疾患の放置につながっています。進行すると子宮から卵管や卵巣へと感染し、卵管炎や卵巣炎を発症し不妊症の原因になります。また、妊婦が感染していると出産時に子どもに感染し、新生児結膜炎を引き起こすこともあります。

図:淋菌性子宮頚管炎

【淋菌性咽頭炎】
淋菌による喉の炎症のことです。淋菌などの性感染症の病原体は、口腔性交により咽頭にも感染します。さらに、咽頭に淋菌を感染している人との口腔性交によって性器にも感染します。淋菌性子宮頚管炎と同じく無症状であることが多いため、感染拡大や疾患の放置の危険性があります。性器から淋菌感染が見つかり、口腔性交の機会がある人は、婦人科医や泌尿器科医だけではなく耳鼻科医も受診することをお勧めします。

 

淋病の治療法

治療にはセフトリアキソンという抗生物質の点滴が有効です。しかし、淋菌感染が消失したことを確認するまでは、性行為を避けなければなりません。性的パートナーが感染している場合には、パートナーの淋菌感染消失の確認も必要です。

早期発見のポイント

感染の機会があったかどうかが重要です。そのような心当たりがあって、前述のような症状がある場合にはすみやかに専門医を受診しましょう。クラミジア感染と淋菌感染についてはセットで簡単に検査を受けることができます。男性の場合は1時間半以上排尿を我慢してから最初に出る尿の検査、女性の場合は子宮頚管の分泌物や、膣を綿棒で擦って採取した分泌物を調べます。咽頭感染については喉を綿棒でぬぐったり、うがいして採取したりした分泌物を検査します。感染したことが判明した場合、性的パートナーも検査を受けましょう。

予防の基礎知識

淋病に感染しないためには、不特定多数の相手との性行為をしないことが第一です。また性交渉時にはコンドームを使用してください。口腔での性行為でも感染するので、同様にコンドームが必要です。コンドームは避妊具だけではなく、性感染症予防の手段でもあると考えてください。

武島 仁

解説: 武島 仁
龍ケ崎済生会病院
副院長


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