社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)

薬剤師が教える薬のキホン

2022.04.08

Vol.01

薬と上手に付き合うために

薬は、病気を治す可能性のある物質を見つけることから始まり、動物への投与試験や、実際に人に「薬の候補」を投与する臨床試験(治験)を経て、あらゆるデータを集めて効果と安全性を確認したのちに国が承認し、やっと使えるようになります。長い年月をかけてつくられる薬の効果を最大限得られるように、薬への理解を深めて、上手に付き合っていきましょう。

薬は飲むタイミングが大事

薬は、開発研究からさまざまな段階の試験を経て、皆さんの手元に届いています。その最終段階である臨床試験(治験)では、その薬が最も効果を発揮し、副作用の出現が少ないタイミングを調べ、飲む(服用する)時間として決めています。
例えば、食べた物の糖分が体内へ吸収されるのを抑える薬は「食直前」の服用だったり、服用してすぐに横になってしまうと胃の壁にくっついて障害を起こすような薬は、起床後すぐに服用したりと、薬にはそれぞれに適した服用時間があるのです。

薬を飲む時間の「呼び方」のいろいろ 「食間」とは前回の食事から約2時間後(次の食事までの間の空腹時)が目安 「食前」とは食事をとる約30分前 「食直前」とはいただきますのすぐ前 「食直後」とはごちそうさまのすぐ後 「食後」とは食事が終了した約30分後のことを言います 薬を飲む時間の「呼び方」のいろいろ 「食間」とは前回の食事から約2時間後(次の食事までの間の空腹時)が目安 「食前」とは食事をとる約30分前 「食直前」とはいただきますのすぐ前 「食直後」とはごちそうさまのすぐ後 「食後」とは食事が終了した約30分後のことを言います

「頓服」とは?

飲むタイミングが決められておらず、症状があるときだけ服用することを「頓服(とんぷく)」といいます。常に服用する必要はなく、痛みを感じるときや熱があるときなど、症状を抑えたいときだけ服用します。

そのほか、決められた時間に服用する薬や、次の服用まで「6時間あけて」など食事に関係なく一定の間隔で服用する薬もあります。
薬の袋を受け取ったときは、袋に書いてある薬の名前と服用方法をしっかり確認してください。また、薬を正しく服用するための注意事項も書かれています。
飲み方が分からないときは、必ず薬剤師に聞くようにしてください。
ベストなタイミングで服用し、その薬の最大の効果を得てしっかり治療しましょう。

薬を飲むとき、何で飲む?

薬同士の相性が悪いものがありますが、服用するときの飲み物にも薬と相性の悪いものがあります。
例えば、グレープフルーツジュース。降圧薬や免疫抑制薬などの一部の薬は、グレープフルーツジュースに含まれるフラノクマリンの影響により、薬の効果が強く出過ぎてしまうことがあります。
牛乳も、成分に含まれるカルシウムやマグネシウムが抗生物質の吸収を妨げることがあります。また、緩下剤(便を軟らかくして排便を促す薬)である酸化マグネシウム製剤を服用中に多量の牛乳を摂取すると、体内のミネラルバランスを崩してしまうことがあります。
薬が持つ本来の効果が影響を受けてしまわないように、薬はコップ1杯程度の水か白湯(さゆ)で服用してください。ただし、ミネラル分の多い硬水は避けるようにしましょう。
そのほかにも、食べ合わせ、飲み合わせに注意が必要なものがあります。「薬の説明書」をしっかりと読んで、分からないことはそのままにせず、薬剤師に確認してください。

薬をつぶしたり
カプセルから出したりしないで

薬の中には、効果を高めるために、早く溶ける成分とゆっくり溶ける成分を配合して、錠剤やカプセルの形にしたものがあります。錠剤を細かくつぶしたり、カプセルから中身を出したりして服用すると、強く効き過ぎたり、逆に効果が落ちたりすることがあります。
飲みにくい場合は、ご自分の判断で薬に手を加えたりせずに、まずは薬剤師に相談してください。患者さんに合った飲みやすい剤形に変更することも可能です。

同じ薬でもいろいろな剤形がある

同じ成分の薬でも、複数の剤形が用意されているものがあります。剤形を変えることで、使い勝手だけでなく、作用の仕方、効果が出るスピードやタイミング、持続時間を変えることができます。そのため、治療の内容や目的などに合わせて、医師が適した剤形を選んで処方しています。
飲みやすさも、治療をしっかり続けるためには重要なことです。粉薬(こなぐすり)が苦手、錠剤やカプセルが上手に飲めないという人は、まずは気軽に薬剤師に相談してください。剤形の変更によって解決できる場合があります。

錠剤 カプセル錠、軟膏剤、散剤(粉薬)、注射剤のイラスト 錠剤 カプセル錠、軟膏剤、散剤(粉薬)、注射剤のイラスト

薬物治療を行なうには、患者さんご自身による薬の正しい理解が必要不可欠です。薬について心配なことや疑問がありましたら、ぜひ、薬剤師にご相談ください。

※掲載している情報および解説者の所属・役職は、本ページ公開当時のものです。

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