社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい) SDGS rd05
SDGS rd05

薬剤師が教える薬のキホン

Vol.04

利用が増えるバイオ医薬品とバイオシミラー

バイオ医薬品はバイオテクノロジーを応用して作られた医薬品です。科学技術や医療技術の進歩によってバイオ医薬品が次々と発売され、これまで治療が難しかった病気に対しても効果が期待できるようになってきました。ただ、バイオ医薬品は高額なものも多いため、患者負担や国民医療費の増加が問題となっています。そこで近年、高額なバイオ医薬品を少しでも安く、安心して使うことができるようにバイオシミラー(バイオ後続品)の開発が進んでいます。

バイオ医薬品って何だろう?

バイオ医薬品は、遺伝子組換え技術や細胞培養技術といったバイオテクノロジーを応用して製造したタンパク質を有効成分とする医薬品です。また、バイオ医薬品は医療現場では生物学的製剤ともいわれています。

一般的な医薬品(化学合成医薬品)は、薬品を化学反応させて作ります。一方、バイオ医薬品の場合、タンパク質が非常に複雑な構造をしていることから化学合成で作るのが難しいため、生物がタンパク質を作る力を利用して作ります。また、化学合成医薬品とバイオ医薬品を比べると、バイオ医薬品は構造が複雑で、分子量が非常に大きいのが特徴です。

ALT
Molecule of the Month © David S. Goodsell and RCSB PDB licensed under Attribution 4.0 International

バイオ医薬品の製造方法は、遺伝子組み換え技術や細胞培養技術を使って、大腸菌や動物の細胞などに有効成分のタンパク質を作らせます。そこから不純物などを取り除いて目的のタンパク質を取り出します。生物を用いるので変化に敏感で調節が難しく、開発・製造・品質管理において高額な費用がかかるため、バイオ医薬品の価格は高くなってしまいます。

バイオ医薬品にはどんなものがあるの?

バイオ医薬品はもともと、体内にあるホルモンや酵素などが不足するような病気に対し、それらのタンパク質を補う目的で開発されました。
例えば糖尿病の場合は血糖値を下げるホルモンであるインスリンを補充するインスリン製剤、腎臓の機能低下による貧血(腎性貧血)では、赤血球を増やすホルモンであるエリスロポエチンを補充するエリスロポエチン製剤などがこれにあたります。

近年では、タンパク質を補うだけでなく、病気の原因を抑える働きを持つ抗体を有効成分とする製剤(抗体製剤)の開発が進んでいます。抗体製剤の対象となる病気には、がん、関節リウマチクローン病などがあります。

がん治療においては、がんの増殖に関係する分子に働くさまざまな抗体製剤があります。一例を挙げますと、がん細胞の表面の目印である抗原をピンポイントに認識して、抗体製剤が結合しがん細胞を攻撃します。
従来の抗がん薬は正常な細胞まで攻撃してしまうため副作用が多く発生していましたが、抗体製剤は薬剤の標的がはっきりしており、副作用の軽減と治療効果が期待されています。

ALT

なお、バイオ医薬品はタンパク質でできているため、口から飲むと消化酵素によって分解されてしまいます。そのためほとんどが注射剤となっています。

注目されるバイオシミラー(バイオ後続品)

バイオシミラーはバイオ後続品ともいいますが、バイオ医薬品の特許が切れた後に別の製薬会社から発売される薬です。化学合成医薬品にジェネリック医薬品があるように、バイオ医薬品にはバイオシミラーがあります。

どちらも特許が切れた後に製造販売される薬ですが、ジェネリック医薬品とバイオシミラーは区別されています。ジェネリック医薬品が化学合成によって作られ、特許の切れた薬(先発品)と同じ有効成分を同じ量含んでいるのに対し、バイオシミラーは複雑なタンパク質を有効成分とするため、特許が切れた薬(先行品)と全く同じものを作ることが難しいです。

そこでバイオシミラーの開発では多くの試験を行ない、先行品と同等/同質の品質・有効性・安全性が確かめられた上で発売されています。それでも最初から薬を開発するよりコストが抑えられるので、薬価(薬の値段)が先行品の約7割になっており、バイオシミラーの普及によって医療費高騰の抑制が期待されています。

ALT
< Vol.3 未来につながるジェネリック