社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)

薬剤師が教える薬のキホン

2022.04.08

Vol.03

未来につながるジェネリック

「後発医薬品の品質および安定供給の信頼性確保を図りつつ、2023年度末までに全ての都道府県で80%以上」というジェネリック医薬品の使用割合の目標が国で定められたことをご存じでしょうか?
ジェネリック医薬品を使用することで、皆さんが窓口で支払う自己負担額を減らせるだけでなく、税金や保険料でまかなわれている医療費全体の節約になり、未来の医療を守ることにつながります。

ジェネリック医薬品の成り立ち

医師が処方する医療用医薬品の中で「新薬(先発医薬品)」と呼ばれるものは、製薬メーカーが10年単位の年月をかけて病気に効くと思われる成分を発見し、動物実験(非臨床試験)を経て、さらに人で有効性や安全性を確かめる臨床試験(治験)を行なった結果を国が認めた後に、患者さんの手元に届いています。
そこには長い年月と多額の開発費用がかかっていますが、一定の期間が過ぎて新薬の特許が切れてしまうと、他の製薬メーカーも多額の開発費用をかけずに、短期間で同じ成分の薬を製造できるようになります。

新薬の特許期間は特許を出願してから20~25年 特許期間が終了するとジェネリック医薬品も販売を開始する

こうして、新薬と同じ成分で作られ、厳しい基準や規制をクリアした上で、国に品質・有効成分・安全性が新薬と同等であると認められたものを「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」といいます。

薬のネーミング

新薬は二つの名前を持っています。一つは成分を表す「一般名(成分名):ジェネリックネーム」、もう1つは「商品名:ブランドネーム」です。「ジェネリック」は英語で「一般的な」という意味で、ジェネリック医薬品は、一般名(成分名)に製薬メーカーの屋号を付けた名前で販売されています。

新薬の商品名は製薬メーカーが独自に付ける ジェネリック医薬品の商品名は一般名を表示

新薬とジェネリック医薬品の違いって?

大きな違いは、薬の値段=「薬価」です。
新薬の薬価は、類似する薬の薬価を参考に算定されます。特にこれまでにない薬の効果(薬効)を持つものは、原料費や製造にかかる費用、そしてその希少性などによって評価され、薬価がつけられます。
最近では、高額な薬価の抗がん剤が話題になりました。しかし、ジェネリック医薬品は開発費用をかけずに薬を製造することができるため、新薬の40~60%程度の薬価になっています。
次に、「添加剤」が違います。
ほとんどの薬には、添加剤が含まれています。添加剤は、薬を作る上で必要なもので、成型したり、安定化させたりする目的で使われています。この添加剤は、製薬メーカーによって異なります。

ジェネリック医薬品を使用する際に注意すること

添加剤が違っていることで、新薬とジェネリック医薬品は、全く同じものとはいえません。新薬からジェネリック医薬品に変更する場合、切り替えてすぐは、体調の変化に気をつけてください。
また、薬の名前が異なりますので、今まで飲んでいた薬がどんな名前のジェネリック医薬品に変わったのか、分かるように「お薬手帳」を活用しましょう。
国は医療費抑制のために、ジェネリック医薬品の使用を推進しています。メリットを理解して賢い消費者になり、未来に向けて安心して医療が受けられるように、協力していきましょう。

※掲載している情報および解説者の所属・役職は、本ページ公開当時のものです。

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