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ネパール大地震に対する医療支援

山間部からやむなく首都に。退避定期的フォローの必要を痛感大阪府済生会千里病院 救命救急センター救急医長 大場 次郎
写真はいずれもJICAの提供


左から3人目が筆者

 私は、国際緊急援助隊医療チームの二次隊(5月7~20日)としてネパールに派遣され、一次隊が同国バラビセ村に開設したフィールドクリニックで、8日から診察や手術の支援を行いました。外傷を負った患者さん以外に、衛生状態が悪いために上気道感染症にかかったり、下痢を訴えたりする人もいました。同村は、山間部で医療事情が悪く、唯一手術ができる病院も被災しました。そのため、中には6時間かけて運ばれてきた患者さんもいました。

 手術を行った翌日の朝、患者さんや家族に笑顔が見られた時はうれしく、ほっとしました。その一方で、12日に11歳の少年の手術を始めようとした時、マグニチュード7.3の余震が発生。医療チームは、隊員の安全を最優先とするため首都カトマンズに一時退避を余儀なくされました。その少年とは退避後に支援を行ったカトマンズ近郊の病院で、笑顔で再会し、無事であることを確認できましたが、災害現場における医療活動の難しさを実感すると同時に、医療チームの責任の重さを強く感じました。

 医療チームは数週間しか現地に滞在できません。そのため現地では、活動期間が終了した後も患者さんが社会復帰できる医療を心がける必要があります。現地の医療機関との信頼関係を構築することや、患者さんと家族に十分な説明を行うことを常に心がけます。また、現地で診療や手術をした患者さんの状態を、支援後も定期的にフォローアップできる体制づくりが必要だと思っています。