俳優デビュー後、わずか数年で多くの作品をこなし、今最も旬の俳優の一人に名を連ねる成田凌さん。12月公開の周防監督最新映画では、100人を超すオーディションで主役を射止めるなど波に乗っています。役柄を通じてつかんだ新たな視点について聞きました。
「若手はみんな出たいと思っている」憧れの周防監督の作品に出演。しかも映画初主演で、「クランクインする前はとにかく緊張した」と言う成田さん。天才的な活動弁士の役柄を演じるため、現役弁士のもと半年におよぶ壮絶な特訓が課せられたが、すべてが難しく、最初の数カ月は苦難の連続だった。「ところが、あるときふと楽しく思える瞬間があって、そこから徐々に自分のものになっていった気がします。活弁シーンを終えるたび、今度は自分の中から何かが抜けていくような寂しさがありました」
映画を振り返り、「活動弁士は作品全体を俯瞰し、役者にも演出家にもなって説明をつけていくのが仕事。僕もそういう全体を見る目を持てたらまた違う芝居ができるのかなと思いました。それから、キャラクターの異なる弁士たちを見ていて、自分のオリジナルってなんだろうと考えるようになった。いろんな経験を通して誰かにモノマネされるぐらい個性的な存在になって、皆さんにより楽しんでもらえたら」と語る。
普段のセリフ覚えはお風呂で。「リラックスするのも風呂だから、ONとOFFの場所が一緒。結果、すごい長風呂になります」と成田さん。
次の目標は、地元・埼玉でもっと愛されること。自身が埼玉県出身であることの認知度の低さに触れ、「埼玉を代表する俳優として覚えていただけるよう、映画のPRも地元はぜひ回りたいし、埼玉のラジオ局NACK5にも出演したいです(笑)」
文:みやじまなおみ 写真:安友康博(機関誌「済生」2019年12月)
スタイリスト:伊藤省吾(sitor) ヘアメイク:宮本愛(yosine.)
『カツベン!』

©2019「カツベン!」製作委員会
舞台はサイレント映画が主流だった大正時代。銀幕スターより注目を浴びていた「活動弁士」を夢見る俊太郎(成田凌)だが、今ではニセ弁士として泥棒一味の片棒を担いでいた。インチキに嫌気がさした俊太郎は、泥棒一味から逃亡、小さな町の映画館に流れつく。「ついにホンモノの活動弁士になれる!」と期待に胸が膨らむが、そこで待っていたのは一癖も二癖もある活動弁士たち。その上、泥棒一味から奪った謎の大金を巡って俊太郎を狙う凶悪泥棒、それを追う熱血刑事にも目を付けられ追われる羽目に。夢を叶えるどころか人生最大のピンチに陥った俊太郎の運命は…?
●監督:周防正行
●脚本・監督補:片島章三
●出演:成田凌、黒島結菜、永瀬正敏、高良健吾、音尾琢真、竹中直人、渡辺えり、井上真央、小日向文世、竹野内豊 ほか
2019年12月13日より全国ロードショー


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