社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)

2024.10.02

中村 蒼 さん

中村 蒼 さん

1991年生まれ、福岡県出身。2006年に主演舞台『田園に死す』で俳優デビュー。『ひゃくはち』(2008)で映画初主演を務める。近年の主な出演作に連続テレビ小説「エール」(2020)、「らんまん」(2023)、「沈黙の艦隊 シーズン1~東京湾大海戦」(2024)、「ギークス~警察署の変人たち~」(2024)などがある。現在放送中のNHKドラマ10「宙わたる教室」に出演中のほか、2025年1月から放送のNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」に出演が決定している。自身初の海外出演作となるApple TV+で配信中の『Pachinko パチンコ シーズン2』にも出演中。

この秋公開の映画では、どこか頼りなくてタイミングの悪い不器用な男性を演じている中村蒼さん。役柄とご自身に果たして共通点はあるのでしょうか。また、悲しみを抱えて動けない人がそばにいたらどうすればいいのか、「もし自分だったら?」を考えていただきました。

「普段は自分の演技を客観視できないのですが、この作品は一観客として入り込み、自然と涙が出ました」

さまざまな理由で一歩を踏み出せず、その場にとどまる人々の背中を小さな奇跡がそっと押してくれる……そんな素敵(すてき)な物語で、中村さんはタイミングが悪くどこか頼りないが、大切な人を助けようと奮闘する主人公の恋人を演じている。

「僕自身、がんばっているけど『そこじゃない』みたいなところは似ていると思います。それをまわりに指摘され、じゃあ逆のほうと思ってやってみると、今回はそっちじゃなかったとか。結局、相手にどう思われるか考えすぎているんです。自分の純粋な気持ちから行動し、発言するのが本当は一番いいんだよと、自分の子どもたちには伝えています(笑)」

大きな悲しみから立ち直ることができない人のそばでどうするべきか? の質問には、「たとえば人の死に関することならその出来事に一切触れず、ただそばにいるのもやさしさですが、あえて踏み込み、一緒に歩いていこうと言葉にするのもその人が前を向くきっかけになる」と中村さん。

本作で人間味あふれる人物を演じ手応えを感じたと言うが、先々の目標は持っていない。「明日も仕事があって、朝起きたら家族がいて、それだけで僕は十分幸せです」

文:みやじまなおみ 写真:安友康博(機関誌「済生」2024年10月)
スタイリストクレジット:荒木大輔 ヘアメイククレジット:高草木剛(VANITES)

映画『アイミタガイ』

映画『アイミタガイ』

主人公・梓のもとにある日突然届いたのは、親友・叶海が事故で亡くなったという知らせだった。交際相手の澄人との結婚に踏み出せず、生前の叶海と交わしていたトーク画面にメッセージを送り続ける梓。同じ頃、叶海の両親もまた娘の死を受け入れられず前に進めないでいた。そんなとき遺品のスマホに溜まっていたメッセージを見つけ……見逃してしまいそうな微(かす)かなやさしさがつながり、登場人物たちに思いもよらない奇跡を起こす。

⚫︎原作:中條てい『アイミタガイ』(幻冬舎文庫)
⚫︎監督:草野翔吾
⚫︎脚本:市井昌秀、佐々部清、草野翔吾
⚫︎出演:黒木華、中村蒼、藤間爽子、安藤玉恵、松本利夫(EXILE)、升毅、西田尚美、田口トモロヲ、風吹ジュン、草笛光子
2024年11月1日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
©2024『アイミタガイ』製作委員会 
配給:ショウゲート

中村 蒼 さん


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