社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)

2015.12.25

竹野内 豊 さん

竹野内 豊 さん
1971年生まれ、東京都出身。94年、テレビドラマ『ボクの就職』で俳優デビュー。『星の金貨』『ロングバケーション』『ビーチボーイズ』と人気作・話題作の出演が続く。2001年、映画『冷静と情熱のあいだ』で日本アカデミー賞優秀主演男優賞、11年『太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-』でブルーリボン賞主演男優賞を受賞。映画『シン・ゴジラ』が公開予定。

無垢に、無我夢中に。少年のような純粋さと情熱を持ち続けたい。

おだやかで、ゆっくりとした低音の語り口のなかに、
あふれ出る熱い想(おも)い。
人間同士のつながりを描いた新作映画『人生の約束』で主人公を演じた竹野内さんに、現在、そして自身で見据える未来の姿を伺いました。

熱い魂と意気に、突き動かされた。
初メガホンとなる石橋冠監督から主演を熱望され、”つながる”というテーマに挑んだ。
「撮影前に監督に意図を聞くと『オレもわかんねぇんだよ』って。困りました(笑)」
役づくりに悩みながらも、繊細かつ渾身(こんしん)の演技でスクリーンに焼き付けた。
「テーマは奥深い。自分が真に理解するには20年くらいかかるかも」と率直に語る。
役者となって22年。数々の人気ドラマや映画で主演し、不動の人気を獲得。でも、マネージャーもつかない駆け出し当時の気持ちを、いまも忘れない。
「あのとき感じた風当りの強さ、現実の冷たさ。それを思い出しながら『いまの俺、勘違いしてないか。上から目線じゃないか。周囲に感謝を忘れていないか』と顧みるときもあります」
オンとオフはきっちり区切る。そう意識したのは、30代半ばのころだ。
「”集中”と”抜く”の切り替えの必要を感じて。外科医の先生だって、家に帰っても手術中のようにずっと張りつめてはいられないでしょう?」
仲間と旅したり、映画を観たり。ときにはひとり電車に乗って、誰にも気づかれない時間を過ごすこともあるという。
この1月で45歳に。心境を尋ねると、撮影現場でのひとコマを口にして微笑んだ。
「あるとき、監督が足をくじいてしまってね。でも夢中で走っていたから『あれ冠さん、足は?』と聞くと、監督は『忘れてた!痛かったんだった』と頭かいた(笑)。79歳にして、少年のような純粋さと情熱。あの無垢さを自分も持てたら。
俺もまだまだ。もっとがんばらないとヤバいぞと思っていますね」

文:浜口恵美子 写真:安友康博 (2016年1月号)
ヘアメイク:佐々木恵枝(シルフ)
スタイリスト:壽村太一(シグノ)

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『人生の約束』

『人生の約束』

IT関連企業のCEOを務め、根っからの仕事人間の祐馬。かつての親友からの無言電話に胸騒ぎを覚え、その故郷・新湊へ向かうが……。人生とは、そして”つながる”とは何か。テレビドラマ界の巨匠が富山県射水市を舞台に、伝統の曳山祭りを織り交ぜて描く、”絆”
と”再生”の物語。

全国東宝系にて1月9日公開
監督:石橋冠/脚本:吉本昌弘
出演:竹野内豊、江口洋介、松坂桃李
西田敏行ほか

 

竹野内 豊 さん