社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)

2015.08.31

稲葉 篤紀 さん

稲葉 篤紀 さん
1972年、愛知県出身。中京高校、法政大を経て、95年ヤクルト入り。2005年に北海道日本ハムファイターズに移籍。プロ通算2167安打、07年には首位打者に輝いた。ベストナイン5回、ゴールデングラブ賞5回。09年のWBCではサムライ・ジャパンの中心選手として活躍し、世界一となった。14年シーズンで現役を引退。15年1月1日付でファイターズのSCO(スポーツコミュニティオフィサー)に就任し、現在は野球解説者としても活躍。

夢、そして感動すること。
スポーツを通じ、その大切さを伝えたい。

北海道をスポーツ王国にしたいと言う。
夢はもっと、津軽海峡を越え、
プロ野球全体の社会貢献にまで広がっていく。
“活動の切れ”は、
サムライ・ジャパンで世界一になった当時のままだ。

もうユニフォーム姿は見られなくなったけれど、野球解説は現役時代のバッティング同様、歯切れがいい。そのテレビキャスターとSCOが現在の活動の両輪。でも、SCOって何ですか。
「スポーツを通して地域の活性化を目指こと。ファイターズの企業理念です。そのために自分が先頭に立ってさまざまな活動に参加していきます」
選手時代、「スポーツをする楽しさを伝えたい」と、北海道の全小学校1300校に運動会のリレーで使うバトンを贈る活動を始めた。どんなスポーツでもいい、競技人口を増やしたい。その中でも、やはり野球をする人を増やしたい。
「日本の野球の競技者人口は810万人。そのうちプロ野球選手は840人、1万人に1人の割合です」
頂点に立つプロの選手たちが、ただプレーに専念するのではなく、いろいろな社会貢献活動に携わっていくことが、すそ野を広げることにつながる。そう確信している。
「選手はシーズン中なかなか活動出来ないので、僕が土台を作って、オフシーズンになったらみんなが活動していく。そういう環境作りをしていくことがとても大事なことで、そうした環境をまず北海道で整えていき、北海道をスポーツ王国にしたいと思います」
野球選手にケガや故障はつきものだ。自身も幾度も泣かされた。
「ケガや故障したときは、精神的に萎えてしまう。そんなとき先生や看護師さんが常に声掛けして癒やしてくれました。病院は治療技術と同時に心のケアが大事ということ身をもって知りました」
引退したばかりだけれど、ファンとしては、ファイターズの監督姿も見たい。
「いずれ、やれたらうれしいですね。今は監督にこだわらず、指導者としてユニフォームを着て若い選手と汗を流したいです」

文:秋元かおり 写真:一條周一(2015年9月号)

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