マドンナのツアーダンサーを務め、一躍、その名をとどろかせた仲万美さん。初主演映画では無一文からプロのダンサーを目指す主人公を熱演。ダンサーとして成功した彼女が、女優という新たな扉を開いた理由を聞きました。
世界のポップスター、マドンナのワールドツアーにダンサーとして参加。「ちょっとうるさいお母さんみたいだった」と笑顔で振り返る。
「女性ダンサーの中で私が最年少で、可愛がってもらいました。『もっとダイエットしなさい』『ハムとチーズは食べちゃダメ!』。どこで見てたの?と驚くぐらい(笑)。もちろん長年“マドンナ”であり続けるには努力しかない。彼女の背中を見て多くのことを学びました」
国内でも一握りのダンサーしか味わうことのできない経験を積み重ねてきた。しかし、あるとき「ダンスしか知らずに死にたくない」と思ったという。
「私に何ができるのか、知りたいと思ったタイミングで映画のオーディションの話がきたんです。演技なんてしたことない。役づくりって何? でも、そこで制限をかけたら意味がないと自分で自分のお尻を叩いて。そこから見たことのない世界が広がり始めました」
初主演映画では、ダンスがテーマだけに「この役は私にしかできない」と強い意志で臨んだ。
「想像を超える展開でどんどん変化していく自分を面白がっています。それでもストレスを感じるときは、ひたすら絵を描きます。思うままペンを走らせたら描いた女の子が泣いていて、“この子、大丈夫かな?”と思うことで自分が癒やされることも。気分がスッキリしたら、また前を向くだけです」
文:みやじまなおみ 写真:広田成太(機関誌「済生」2021年4月)
『ドリームズ・オン・ファイア』
ダンサーになる夢を実現するため、家族の反対を押し切って上京したユメ。個性あふれるダンサーたちとのレベルの差に衝撃を受けるも、目標を達成するために努力を惜しまない。無一文だった彼女は東京の歓楽街で働くことを決意。先の見えない夢と現実のはざまでもがきながら、たくさんの人たちと出会い、ダンスを続けていくユメだが……。
●脚本・監督:フィル・メッキー
●出演:仲万美、髙嶋政宏、麿赤兒、黒田育世、奥田咲、紅林大空、メデューサ・リー、山下雫 ほか
2021年5月15日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開


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