世界の少数民族を撮り続けるヨシダナギさん。
逆光で捉えたヒーローのようなポーズ、息をのむ色彩の美しさが話題を呼び、人気フォトグラファーに。近年は被写体にドラァグクイーンを迎え、その世界観を広げています。ヨシダさんが考える“彼らの共通する魅力”とは?
5歳でアフリカに魅せられた。テレビで見たマサイ族に憧れ、「大きくなったらあの肌の色を選び、あの姿になる」と本気で思っていた。しかし10歳のとき、母親に「あなたはアフリカ人にはなれない」と告げられ、人生初の挫折を味わったという。
それから十数年後、ヨシダさんが撮影するアフリカ少数民族の写真がSNSで話題に。独特の手法がテレビ番組でも取り上げられ、一躍、注目を浴びるフォトグラファーになった。「大好きなアフリカが私にフォトグラファーという肩書をくれた」と語る。
そんなヨシダさんが次の被写体にドラァグクイーンを選んだ理由とは?
「私は写真が好きというより少数民族に会いたいのがメインだったので、『少数民族以外の写真を見てみたい』と言われて1回壁にぶつかりました。彼らと同じくらいカッコいいと思える被写体を数年探し続け、ようやく見つけたのがドラァグクイーンです。その立ち姿に、少数民族と同じ圧倒的な存在感と、揺るがない自信を持つ人だけが放つ美しさを感じたんです」
クイーンたちは「あなたが、私が、美しいと思うものはすべて美しい」と言い、人間としての器の大きさも持っていた。「自分に素直な人は、他人にも優しくできる。写真を通して、彼女たちのそうした魅力を伝えていきたいですね」
文:みやじまなおみ 写真:伊藤圭(機関誌「済生」2021年6月)
ヨシダナギ写真展
『DRAGQUEEN-No Light, No Queen-』
伝統の暮らしを継承するアフリカの少数民族をスタイリッシュに撮影することで知られるヨシダナギが、ドラァグクイーンを被写体とした作品集『DRAGQUEEN-No Light, No Queen-』(ライツ社)の写真展を大阪・阪急百貨店で開催。ヨシダがニューヨークとパリで撮影した作品と撮影風景に加え、この写真展のために撮りおろした日本のドラァグクイーンたちの作品が展示される。
※新型コロナ感染拡大のため開催延期となりました


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