阿川 佐和子 さん
エッセイスト、作家、インタビュアーと、さまざまなジャンルで活躍する阿川佐和子さん。近年は“女優”としても存在感を発揮しています。映画『エゴイスト』では、息子からのケアを受けるシングルマザー役を熱演。難しい役どころをどう演 […]
エッセイスト、作家、インタビュアーと、さまざまなジャンルで活躍する阿川佐和子さん。近年は“女優”としても存在感を発揮しています。映画『エゴイスト』では、息子からのケアを受けるシングルマザー役を熱演。難しい役どころをどう演じたのか、持ち前のユーモアと深い人間力を交えてお話いただきました。
「主演の鈴木亮平さん、宮沢氷魚さん、監督、みんな身長が185センチぐらいあるんです。この3人と150センチの私が並んだらどう見えるのかしら・・・って、映画の撮影中に、舞台挨拶のビジュアルを想像しちゃった」と、のっけから笑わせてくれた。
阿川さん演じる宮沢さんの母親役は、監督いわく“とても強い女性”。「息子が高校生の頃から負担をかけ、負い目を感じているからこそ『あなたのおかげで元気に生きている』とむしろ楽しそうな姿を見せる、気丈な女性を意識しました」と語る。撮影現場では、カメラ、照明、音響も含めたチームの一員として、一人ひとりが違う音色、リズムを奏でることで人の心を動かすオーケストラのような高揚感を味わったそう。
もともとは畑違いだった女優として求められていることについて聞くと、「オファーされれば何でも足を突っ込むのは昔から」と自嘲しつつも、「与えられた場所は運命だから、ともかく面白がること。そこでどうやって機嫌よく自分の花を咲かせるかということに夢中になれば、それを誰かが必ず見ていてくれる。私の志しているのはそこです!」ときっぱり。
さて、この次にチャレンジしたいのは? 「先日、テレビ番組でプロとピアノ連弾をして、それがあまりに気持ちよかったの(笑)。指先を動かすのは老化防止にもいいそうで、簡単な曲を弾けるようになって80代、90代を楽しめたらいいですね」
文:みやじまなおみ 写真:安友康博(機関誌「済生」2023年2月)
スタイリスト:中村抽里
ヘアメイク:田中舞子(VANITÉS)
『エゴイスト』
© 2023 高山真・小学館/『エゴイスト』製作委員会
14歳で母を失い、田舎町でゲイである自分の姿を押し殺しながら思春期を過ごした浩輔。今は東京で雑誌編集者として働き、自由な日々を送っている。そんな彼が出会ったのは、シングルマザーである母を支えながら暮らす龍太。浩輔は龍太との出会いによって、誰かを心から愛する喜びを知っていくが、大切な人との関係は、ある日突然断たれてしまう・・・。
●原作:高山真『エゴイスト』(小学館刊)
●監督・脚本:松永大司
●脚本:狗飼恭子
●音楽:世武裕子
●出演:鈴木亮平、宮沢氷魚、阿川佐和子 ほか
2月10日(金)全国公開


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