どんな役柄を演じても、忘れられない強烈な存在感を放つ柳楽優弥さん。話題の最新主演作『夜明け』に込めた思い、そしてパワーの源となる「心のよりどころ」とは？

鋭い眼差しから一転、人懐こく顔をほころばせる。くるくる変わる表情から目が離せない。『夜明け』では秘密を抱えて逃げてきた青年を演じた。
「最近はキャラクターのはっきりした役が多かったので、こんな内面を描く役をやりたかった。自分がやるからには芯に生命力を込めよう、と決意しました」

真っ暗なトンネルにライトをひとつひとつ照らしていく。そんな前向きな気持ちを、演じながら感じたという。
「人生、〇と×で単純に決めつけられない瞬間がある。この作品から何かを感じてもらえたらうれしいですね」

主人公は過去を捨て、別人として生き直そうとする。「自身で生き直したいと思ったことは？」と聞くと、「あります。僕の俳優人生はけっこう〝大波〟でしたから」と苦笑。
初主演作『誰も知らない』で、カンヌで受賞し脚光を浴びたのが14歳。俳優のスタートでいきなりゴール地点に立ったのちは、そこから進むのに戸惑いを味わったことも。「これからはこんなふうに進みたいな」と、なだらかな階段を手で描く。

オフの楽しみは、「お茶と武道と英語の習い事！」と目を細める。
「気分をリセットできるのが魅力。もう楽しくって、いまや僕の心のよりどころですね(笑)」

29歳を迎える新年も、主演作が続々と公開。「しっかりと面白いものをお届けしたい」と、キリリと気合を込める。そして「もちろん習い事たちも謳歌します！」
最後に笑顔を弾けさせた。

文：浜口恵美子　写真：広田成太　(機関誌「済生」2019年1月)
ヘアメイク：佐鳥麻子
スタイリスト：澤田石和寛
衣装協力：ESTEEM PRESS
TEL03-5428-0928
シャツ／liberum arbitrium

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