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膵臓(すいぞう)がん

Pancreatic Cancer

解説:久永 倫聖 (奈良病院 副院長)

膵臓(すいぞう)がんはこんな病気

膵臓(すいぞう)は胃のうしろにあるタラコを横にしたような長さ20cmほどの臓器で、その右側は十二指腸に接し、膵液(すいえき)という消化液が流れ込みます。そして、膵臓にできる癌の90%以上は、この膵液の通り道である細い管(膵管:すいかん)にできます。これを膵管がんといい、膵臓がんは、通常この膵管がんのことを指します。

膵臓(すいぞう)の構造
膵臓(すいぞう)の構造

2013年の厚生労働省の人口動態統計によると、膵臓(すいぞう)がんは、男性ではがん死亡数の5位、女性では4位と年々増加傾向にある病気で、毎年3万人以上の人が亡くなっています。

膵臓がんは発見・治療とも極めて難しく、患者数と死亡数がほぼ等しいがんです。これは膵臓がん患者の生存率が非常に低いことを意味しています。家族の中に膵臓がん患者がいる人は、いない人に比べ膵臓がんの危険性が13倍も高いと報告されています。また、遺伝性すい炎や家族性の大腸ポリープ、家族性乳がんなどの遺伝性疾患でも膵臓がんの発症頻度が高いことが知られています。

早期発見のポイント

自覚症状としては腹痛や体重減少などがありますが、特徴的な症状はなく、早期の場合はほとんど無症状です。したがって、胃がんや大腸がんのように早期発見することが難しく、人間ドックや、CTスキャン・超音波検査などの画像検査によって偶然発見される以外では、病気が進行してから発見されることがほとんどです。
膵臓(すいぞう)の頭部・鉤部(こうぶ)に発生した癌では、腫瘍(しゅよう)が総胆管を閉塞して、皮膚や白目に黄疸を生じることがあります。また、急に糖尿病と診断されたり、糖尿病が悪化したりということを契機に発見されることもしばしばです。膵臓がん患者の既往歴(過去の病歴)では、糖尿病や胆石症、急性すい炎、慢性すい炎が多く見られます。このことから、これらのリスクのある人は膵臓がんになる危険性が高いと考えられ、定期的な検診が必要です。

予防の基礎知識

膵臓(すいぞう)がんの原因はいまだ不明な点が多いため、はっきりとした予防法はありませんが、喫煙は確立した危険因子です。喫煙者は、非喫煙者と比べてリスクが2~3倍高いと報告されています。肥満、運動不足も危険因子であり、BMI(肥満指数)が30以上の人は注意が必要です。
また、食生活の欧米化による、脂肪やタンパク質の取りすぎも原因の一つとされています。膵臓はインスリンというホルモンとともに、脂肪やタンパク質を分解する膵液(すいえき)を分泌しています。脂肪やタンパク質を大量に摂取すると、それだけ多くの膵液が必要となり、膵臓に負担がかかるため、脂肪やタンパク質の摂りすぎに注意することが必要です。ほかにも、コーヒーの飲み過ぎ(1日4杯以上)はリスクを上昇させ、逆に野菜・果物(ビタミンC、食物繊維)の摂取はリスクを低下させることが知られています。

久永 倫聖

解説:久永 倫聖
奈良病院
副院長

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