済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
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2024.05.01
ロキタンスキー症候群は、染色体は正常女性型であるものの、生まれつき子宮や腟がない、あるいは一部が欠損しているといった先天性の疾患です。生まれてくる女児の4,500~5,000人に1人の割合で発見される大変まれな病気です。
1983年にオーストリアの病理解剖学者であるロキタンスキーによって初めて発表され、現在はその後の研究者の名前も加わり、メイヤー・ロキタンスキー・キュスター・ハウザー(MRKH=Mayer-Rokitansky-Küster-Hauser)症候群と呼ばれています。
受精卵はお母さんのおなかの中(胎内)で赤ちゃんになる間に男性・女性に分かれます。その過程が典型的に進まないことから起こると考えられていますが、原因ははっきりしていません。
卵巣・卵管は正常なので、女性ホルモンが分泌されて乳房が膨らんだり、陰毛や脇毛が生えてきたりと第二次性徴は起こります。二次性徴が起こる10代後半〜20代前半に、無月経や性交障害の症状が出ることで受診され、発覚することが多いです。
ロキタンスキー症候群は、恥丘(ちきゅう)や大陰唇、小陰唇、陰核などで構成される外陰部は正常ですが、腟と思われる凹みが盲端(端が閉じている状態)になっている状態など腟が欠損していることが確認できます。超音波検査とMRI検査では、子宮の欠如または瘢痕的子宮(はんこんてきしきゅう=傷跡程度の子宮)、正常な卵巣を確認します。腹腔鏡検査では、両側の痕跡的子宮(卵巣と卵管がつながっている部分に遺残した子宮)の有無や、卵巣・卵管などに問題ないかを判断します。
腟の欠損状態によって、小さな腟拡張器(プロテーゼ)を腟の中に挿入し、日数をかけて大きなプロテーゼに交換していく方法や、腸管を切り取って腟管として利用する Ruge 法などの造腟手術で形成する方法があります。
10代後半〜20代前半で初経が始まらないときは、早めに受診することをお勧めします。また、合併奇形として、排尿に関する臓器に異変がみられる泌尿器系異常や、骨や軟骨などの骨格を形作る組織に障害がみられる骨格異常があるので、そのような奇形が発見され、月経がないときには検査が必要です。
残念ながら現在までのところ、有効な予防法はありません。
解説:金嶋 光夫
福井県済生会病院
産婦人科主任部長・女性診療センター長
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