済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
2013年3月16日、私が代表を務める「第33回日本ソーシャルインクルージョン(社会的包摂)推進会議」を、寒さがいまだ残る東京にて開催した。大阪、仙台など全国各地から30人以上の人が集まった。
この推進会議を組織して10年が経つ。発足当時、世間の反応は冷たく、痛烈な嫌味が私に浴びせられたこともあった。
「ソーシャルインクルージョン? 分からんなあ。日本には関係ないよ」
「高齢者も豊かになった。生活困窮者問題は過去のこと」
しかし、愚直に訴え、活動を続けた。次第に障害者、刑務所出所者、スラム、ホームレス、同和問題、在日コリアンなどの問題に取り組む人たちから賛同の輪が広がった。政治、行政、学問に影響を与えるようになった。
アベノミックスの効果から日本経済が上向き、明るさが出始めたが、恩恵を受けられない人たちは、依然多い。
推進会議当日、私は、まず社会参加が進まない障害者、増大する若年のホームレス、都市の高齢者の孤立死などの諸問題が今日も増大していると説明。解決のためには世界の政治の基本理念になったソーシャルインクルージョンに基づく政策を一層、推進しなければならないと述べた。
続いて、和歌山市の社会福祉法人「一麦会」の柏木克之さんが平成12年から行っている障害者の就労支援活動について話した。大手スーパーの店長等を勤めただけにビジネスに精通している。納豆、豆腐など農産加工品に取り組んでいる。年商2億5千万円までに発展。障害者の生活の支えになっている。仕事によって社会とのつながりを築く。ソーシャルインクルージョンの成功例である。
柏木さんの話は感動的だった。韓国でも社会的企業が千社近く設立されているとの紹介。厚生労働省でも重要政策になっていると話された。
ソーシャルインクルージョンが日本でも定着しつつある。満ち足りた私の浅き春の休日だった。この日、東京では桜の開花宣言があった。
1946年富山県高岡市生まれ。69年東京大学法学部卒業、厚生省に入る。自治省、総務庁、在英日本大使館、厚生省社会・援護局長などを経て2003年環境事務次官に就任。08年5月から済生会理事長。現在、日本障害者リハビリテーション協会会長、富山国際大学客員教授なども務めている。著書に「環境福祉学の理論と実践」(編著)「社会福祉の原理と課題」など多数。