済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
寒さには強い方だ。
北陸の生まれだから、「冬は、寒いに決まっている」と思ってきた。60年以上前の冬は、今よりずっと寒かった。
昔の家は、断熱性がなかった。私の家は、隙(すき)間風が遠慮なく通り抜けるだけでなく、雪まで吹き込んできた。当時の暖房具は、火鉢程度だったから、我慢するしかなかった。これで鍛えられた。
40年以上こたつやストーブなどの暖房具を所有しない生活をしてきた。これまで住んできた共同住宅は、南側に面しているうえ、上下の階から温められる好条件が幸いした。
厚手のコートも長い間、持たないまま冬を過ごしてきた。厚いコートは、貧弱な体にはずしりと重い。
この厳寒の東京でもTシャツ姿で歩く外国人を見かける。がっちりした肉体が、日本の寒さを物ともしない。
現在の私の体脂肪率は、8%程度。内臓脂肪を落とすため食事と運動面で努力した成果だが、皮下脂肪まで薄くなった。耐寒力では不利である。
今年の冬は、異常に寒い。いくら寒さに強いといってもやはりこたえる。もはや、やせ我慢の心境に入った。
我慢力は、成長とともに身についた性格だ。
遠足や運動会で裕福な家庭の子どもが、当時高価だったチョコレートやバナナを持っていても、「そんな物は食べたくない」と無視をした。これは私だけでなく、当時のほとんどの子どもは、同様な態度だった。
我慢することは、日本人の美徳と言われてきた。ラフカディオ・ハーンが『日本の面影』で夫の遺骨を抱き、微(ほほ)笑む日本女性の不思議さを描いている有名な文がある。悲しみをじっと我慢する。日本人にはよく理解できる。
最近日本では、我慢する心が薄れていないだろうか。
欲求が満たされないことへの不平不満や他人への妬(ねた)みなどから切れてしまう人が、増えたと感じるのは私だけだろうか。年少者だけでなく高齢者にも見受けられる。成熟していない大人たちである。
山本五十六が言った「苦しいこともあるだろう。(中略)じっとこらえてゆくのが男の修行」は、現代の日本人にも必要だと痛感する。
1946年富山県高岡市生まれ。69年東京大学法学部卒業、厚生省に入る。自治省、総務庁、在英日本大使館、厚生省社会・援護局長などを経て2003年環境事務次官に就任。08年5月から済生会理事長。現在、日本障害者リハビリテーション協会会長、富山国際大学客員教授なども務めている。著書に「環境福祉学の理論と実践」(編著)「社会福祉の原理と課題」など多数。