社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)
済生春秋 saiseishunju
2013.08.12

第7回 酷暑に想う

 私は、毎晩健康のために小学生に追い越されてしまうスローなジョギングを45分間楽しんでいる。最近は10時を過ぎてからにしているが、暑さは和らいでくれない。
 7月中旬に仕事で一週間英国に滞在したが、英国も異常に暑かった。BBC*のニュースのトップは、日本と同様に連日猛暑関連であった。
 英国は高緯度にあり、本来夏でも涼しい。ほとんどの家庭でクーラーを設置していない。私が宿泊した安ホテルもクーラーはなかった。申し訳なさそうに小型の扇風機が部屋の片隅に置いてあったが、効果がない。窓を全開にして寝たが、やはり暑かった。
 今年は北半球の各地が暑い。地域によっては干ばつ、洪水、山火事などの大規模な災害が発生している。

 私は、この地球全体の異常気象が地球温暖化の進行と関係が深いのでは心配する。関連性が否定できないと、今年のような酷暑が今後もずっと続く。
 地球温暖化は18世紀半ばからの産業革命で石炭、石油といった化石燃料を燃焼させ、炭酸ガスなどの温室効果ガスを大量に大気中に放出してきた結果生じている。地球の平均気温は、産業革命前に比べて0.7℃以上上昇した。2~3℃以上上昇すると、気象現象や生態系に決定的な影響を与える。人類を含めた生物の生存も危ない。手を拱(こまぬ)いている余裕がない。

 私は、北極の氷床の急減を懸念している。北極が暖かくなると、北極海やシベリアに氷結していたメタンの大気中への放出が始まる。メタンの温室効果は、炭酸ガスの20倍以上あるので、地球温暖化が一層進むという悪循環になり、人類は後戻りのできない滅亡コースに陥る。

 地球温暖化進行を防止するため、先進国、途上国を問わず、すべての国の行政、企業、団体、家庭などあらゆる人は、積極的に取り組まなければならない。病院や社会福祉施設も例外でない。
 私は、3年前から関心を有する人たちと研究会を設立し、社会福祉施設などでの地球環境問題解決への貢献方策の開発に取り組んでいる。障害者や高齢者が働く事業所で、廃アルミから水素を発生させ、燃料電池に活用しているのもその一つである。世界で初めての試みである。これは今年9月20日午後、東京ビッグサイトでの国際福祉機器展でシンポジウムとして発表することにしている。

* 英国放送協会。イギリスの公共放送局

炭谷 茂

すみたに・しげる

1946年富山県高岡市生まれ。69年東京大学法学部卒業、厚生省に入る。自治省、総務庁、在英日本大使館、厚生省社会・援護局長などを経て2003年環境事務次官に就任。08年5月から済生会理事長。現在、日本障害者リハビリテーション協会会長、富山国際大学客員教授なども務めている。著書に「環境福祉学の理論と実践」(編著)「社会福祉の原理と課題」など多数。

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