済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
私は、8年前に富岡製糸場の保存活動をしている群馬県の住民の方から「世界文化遺産に登録したい」と聞かされた。富岡製糸場を訪れたことがないので、意見は述べなかった。しかし、知床の世界自然遺産の登録の仕事を経験したので、容易な道ではないと思った。先ごろユネスコの諮問機関から世界文化遺産の登録の勧告がなされたが、関係者は、大変な苦労をされただろう。
勧告までこぎ着けた理由の一つには、戦前、富岡製糸場を三井から引き継ぎ操業、昔のまま多額の経費をかけて保存し、富岡市に寄贈した片倉工業の存在があると思う。片倉工業は、歴史的な文化財の保存に努力している。私は、長野県諏訪市に昭和3年に片倉工業が建築した片倉館を旧知の山田勝文諏訪市長の招きで見学したことがある。千人風呂と称する大きな入浴施設を有する保養施設で、富岡製糸場に負けない歴史的な建造物である。
日本には絹産業を支える養蚕業が存在した。明治以降最大の輸出品は絹製品であったので、群馬、栃木などの農家で養蚕が盛んだった。戦後化学繊維の発達、中国などの安価な絹製品の輸入の増大により養蚕は、急速に衰退した。
私の生まれた富山県の富山市八尾町は、風の盆で有名だが、養蚕業で栄えた。その八尾町で、村上満さん(富山国際大学准教授)は、障害者の仕事として桑の栽培を始めた。木は、山の斜面に植えられた。私が訪れた秋の日、心地よい風が通り抜けていった。桑の葉でペットボトル入りの茶やクッキーを製造、販売している。桑茶の製造は、地元の和漢薬メーカー広貫堂(こうかんどう)が協力した。健康にいいと、売れ行きは良い。今では富山空港でも販売している。
栃木県野木町の障害者施設パステルの常務理事・石橋須見江さんは、村上さんの経験を参考に、障害者による桑の葉入りのクッキー、ベーグル、ケーキなどの製造を昨年から始めた。近隣に桑町という町があるほど養蚕業が盛んな地であった。私も助言者として2度お伺いした。味は、爽やかで美味(おい)しい。クッキーに養蚕風景が描かれているのも、楽しい。
富岡製糸場の世界文化遺産登録をきっかけに、桑が障害者福祉の向上に役立ってもらいたいものだ。
1946年富山県高岡市生まれ。69年東京大学法学部卒業、厚生省に入る。自治省、総務庁、在英日本大使館、厚生省社会・援護局長などを経て2003年環境事務次官に就任。08年5月から済生会理事長。現在、日本障害者リハビリテーション協会会長、富山国際大学客員教授なども務めている。著書に「環境福祉学の理論と実践」(編著)「社会福祉の原理と課題」など多数。