済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
「この辺りはきついなあ」と11月下旬の予定表を見ながら、ため息をついた。
まず岩手県北上市に東北新幹線での日帰り、翌日に1泊2日で大阪市に出張、4日後には京都市に東海道新幹線での日帰りと続く。
この間に都内のホテルで済生会として大きなシンポジウムを開催しなければならない。私が20年以上にわたって取り組んできたソーシャルインクルージョン(社会的包摂)の理念を日本社会に普及させるためのシンポジウムで、ぜひとも成功させたいと意気込んでいた。
記念講演は、小池百合子都知事にお願いした。これまで一緒に活動してきた人にも参加を呼びかけた。北海道帯広市や沖縄県那覇市を含め、全国各地からたくさんの人が参加してくれることになった。
私の精神的ボルテージは、いやがうえにも上がっていたので、気力で乗り切れると自信があった。
大阪・釜ヶ崎での済生会大阪支部の無料健診事業に加わる出張から戻った翌日、朝から職員研修所で1時間45分間、人権・同和問題の講義を行なった。私のライフワークだから、講義をするのは勉強になるし、楽しい。疲労感はなかった。
しかし、その日の午後、2時間の白熱した別の会議の終了後、立ち上がって歩こうとすると、体がふらつく。まっすぐ歩けない。左へ左へと体が動く。自分の意思通りに動いてくれない。
「脳梗塞の前兆か」と不安がかすめた。ただ10年前に過労によって似たような症状を経験したことがある。同じだろうと考えることにした。翌日のシンポジウムは、何が何でも成功させねばならない。
その日は早めに寝て、ひたすら回復を祈った。
翌朝は早く目が覚め、自宅の周りを10分程度注意しながら歩いた。やはり体が揺れてまっすぐ歩けない。でも、前日より少しましのようだ。
本番のステージでまっすぐ歩けるか、40分間立ったまま話せるか心配だった。が、何とか切り抜けられた。参加者にさとられることはなかった。
シンポジウムの翌朝には完全に回復した。やはり過労と強度の緊張が原因のようだ。精神力だけでは通用しない。年齢相当の自己管理が必要だと痛感させられた。
1946年富山県高岡市生まれ。69年東京大学法学部卒業、厚生省に入る。自治省、総務庁、在英日本大使館、厚生省社会・援護局長などを経て2003年環境事務次官に就任。08年5月から済生会理事長。現在、日本障害者リハビリテーション協会会長、富山国際大学客員教授なども務めている。著書に「環境福祉学の理論と実践」(編著)「社会福祉の原理と課題」など多数。