社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)

済生春秋 saiseishunju
2023.01.05

第119回 ツキが変わるか

 昨年暮れ、私の身の回りで面倒なことが次々に起きた。
「マンションの近くの道路で転び、足を骨折したらしい」と妻から携帯にメールが入った。これで3度目の骨折である。最初は、JRの駅の構内で階段につまずき転落し、救急車で運ばれる大けがだった。
 高齢になると、ほんの小さな段差にさえ足を取られ、転ぶ。骨が脆(もろ)くなっているので、少しの衝撃で骨折に至る。妻は、自分なりに日常細心の注意をしているが、そのときは何か急がねばならない事情があったらしい。
 翌日、痛みに耐えながら、病院で取ったレントゲンとCTでは骨折か判断できない。3週間後の予約で撮影したMRIで骨挫傷だと分かった。全治まで2カ月間であることには変わりがない。

 マンションのガスの給湯設備が、故障した。以前から風呂のお湯の出が安定せず心配していた。本格的な冬に入ったときにダウンするとはアンラッキー。これではお湯が使えず、炊事や風呂に支障が生じる。床暖房も使えない。
 東京ガスに電話をすると、この時期は修理要請が多いらしい。翌日連絡を受けた修理会社の人の良さそうなおじさんが、寒い中5時間以上もかけて、ベランダに設置された設備の修理をしてくれた。

 次にトイレのウオッシュレットの洗浄用ノズルが故障した。設備器具メーカーに電話をすると、故障した部品を取り寄せるのに1カ月以上は要するという。そんなに時間がかかるのか、にわかには信じがたいが、どうすることもできない。今も待っている。

 締めくくりは、マンションの鍵の故障だった。今年も残り4日という日、妻から焦った声で「鍵が開かない」と電話がかかってきた。買い物から帰って鍵を開けようとしても、空回りするという。想定したことのないトラブルだ。
 どこに頼めばよいか迷った。ネットで調べた業者に依頼したら料金トラブルが、発生したと聞いたことがある。そこでマンション管理会社に相談した。鍵の相談は多いらしく、提携している業者を紹介してくれた。
 1時間半後に駆けつけた業者が、ガチャガチャやりながら開けてくれた。たまったゴミが原因だった。

 新しい年に入った。東京の元旦は、青空で気持ちが良かった。年末に多発したトラブルも一掃して、気分新たに進みたいものだ。月も替わったことだし、私のツキも変わって欲しい。

炭谷 茂

すみたに・しげる

1946年富山県高岡市生まれ。69年東京大学法学部卒業、厚生省に入る。自治省、総務庁、在英日本大使館、厚生省社会・援護局長などを経て2003年環境事務次官に就任。08年5月から済生会理事長。現在、日本障害者リハビリテーション協会会長、富山国際大学客員教授なども務めている。著書に「環境福祉学の理論と実践」(編著)「社会福祉の原理と課題」など多数。

  • Twitter
  • Facebook
  • LINE