済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
2月に入ると、梅の花が咲き始め、心地よい香りが一面に漂う。桜の花は、大勢の人の関心を集め、にぎやかで騒々しくもあるが、梅の方はひっそりと咲く。この慎ましさや気品が私の感性に合う。
2月に咲き始める樹木は、少ない。道を歩いていると、遠慮するように木々の間に隠れて咲いている木がある。近づくと、梅の花であったりする。今は寒いけれど春の訪れが近いと感じさせてくれる花である。昔の人は、2月を梅見月と名付け、愛(め)でたのだろう。
梅の花は、私を幼いころの世界に誘ってくれる。
私の故郷である富山県高岡市でも梅の花が咲いていた。町の中心に射水神社という市民から崇拝される古くからの神社があった。その境内に梅の木が植えられていた。桜の花見の季節と違い、わざわざ訪れる人はまばらだった。梅の花を本当に愛でる人に限られたが、その方が梅の花にはふさわしかった。
今年ももうしばらくすると、私が住んでいた60年前と同じように花が咲き始めるだろうか。
元号「令和」は、大伴旅人の万葉集の和歌が由来だが、太宰府での梅花の宴の情景を描いたものだった。
その子、家持は国司として現在の高岡市を中心とする越中に赴任した。家持も越中の国で梅を題材にした次のように名歌を残している。
雪の上に 照れる月夜(つくよ)に 梅の花 折りて贈らむ 愛(は)しき子もがも
小さいころお祭りのようなハレの日には母が、梅の花をかたどった小さな和菓子を買い求めてきた。特別なお祝いの時だけ紅白それぞれ1個ずつ食べた。ぱりっとした皮の中に餡(あん)が入っているだけの素朴なお菓子だったが、子どもには格別、美味(おい)しかった。
母は自分では食べないで、うれしそうに食べている子どもたちの顔を見つめていた。
梅の花を見ると、お菓子の名前は忘れてしまったが、自然と母とあの紅白のお菓子を思い出す。
1946年富山県高岡市生まれ。69年東京大学法学部卒業、厚生省に入る。自治省、総務庁、在英日本大使館、厚生省社会・援護局長などを経て2003年環境事務次官に就任。08年5月から済生会理事長。現在、日本障害者リハビリテーション協会会長、富山国際大学客員教授なども務めている。著書に「環境福祉学の理論と実践」(編著)「社会福祉の原理と課題」など多数。