済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
7月中旬の日曜日は、猛暑だった。身体がなまってきたので、午後3時過ぎにウオーキングに出掛けた。
3時でも相当に暑かった。できるだけ日陰を歩くようにした。1時間歩いたところで目黒区の大鳥神社に着いた。自動販売機で100円のミネラルウオーターを買って飲んだ。半分ほど一気に飲んだ。これほど体が水分を求めていたのだ。
水分補給をすると、元気が回復した。再び歩き始めた。でも暑さは和らがない。体はやや重く、歩く速度は落ちた。方々を回って、目黒不動の境内の樹木の下で再び水分補給。10分程度の休憩後、重くなった足で1時間弱後に帰宅。猛暑の中の3時間のウオーキングだった。
20年前も30度を超える夏の日、休日には決まってウオーキングに出掛けた。近郊の自然の中を20キロ程度の長い距離を歩くことが楽しかった。首都圏には楽しめるウオーキングコースが、ガイドブックでたくさん紹介されている。
猛暑の日、多摩川沿いへウオーキングに出掛けた。堤防上に整備されたウオーキングコースを滔々(とうとう)と流れる多摩川を見ながら歩いた。普段はウオーキングを楽しむ人は多いが、その日は、暑さのためか、人影はなかった。
堤防上は照りつける太陽を遮るものがない。全身に夏の日差しを受けた。体力と精神力を付けるには絶好の機会だと思い、歩みを止めなかった。
1時間半くらい過ぎたころだろうか。めまいを感じた。これまで経験したことのない感覚である。目の前も暗く感じた。
気のせいだろうか、このまま進むべきか迷った。「もしかして熱中症かも」と頭をよぎった。堤防下に自動販売機があった。スポーツドリンクを買い、脇道に座り、一口飲んだ。冷たい水が体にしみ込んだ。するとどうだろうか。身体から異常な感覚がスーと消えていった。熱中症の入り口だったのだ。
この体験は、現在でも生きている。熱中症は、体力自慢の人でも起きるものだ。熱中症はどんな時に起きるのか。どんな症状か。対処方法も知ることができた。
今年は猛暑である。熱中症患者発生のニュースが絶えない。そんな中でも、熱中症対策には自信を持って、私の唯一の運動であるウオーキングに精を出している。やはり体験は最大の教科書だ。
1946年富山県高岡市生まれ。69年東京大学法学部卒業、厚生省に入る。自治省、総務庁、在英日本大使館、厚生省社会・援護局長などを経て2003年環境事務次官に就任。08年5月から済生会理事長。現在、日本障害者リハビリテーション協会会長、富山国際大学客員教授なども務めている。著書に「環境福祉学の理論と実践」(編著)「社会福祉の原理と課題」など多数。